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英語のアカデミックライティングをAIで書く手順|避ける表現と構成の型

英語のアカデミックライティングをAIで書く手順|避ける表現と構成の型

英語のアカデミックライティングでAIを使うときに、最初に決めることが1つあります。

AIに「書かせる」のか、「直させる」のか、という線引きです。

この線を決めないまま使うと、英語としては整っているのに、提出先の規程に触れる原稿ができあがります。

しかも規程は、大学や学会ごとに中身が違います。

この記事では、避ける表現の言い換え表、構成の型、コピーして使える指示文8本、1本90分の手順を置きます。

扱うのは英語の書き方と、AIの回し方の2つだけです。

研究のやり方や統計の選び方は扱いません。

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【結論】英語のアカデミックライティングはAIに型の当てはめと検査だけ

英語のアカデミックライティングでAIに渡してよい仕事は、型の当てはめと検査の2種類しかありません。

中身そのものをAIに考えさせないことが、この2つに共通している線です。

理由は3つあります。

1つ目は、国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)の勧告が、チャットボットを著者に並べてはいけないと明記していることです。

原文は「Chatbots (such as ChatGPT) should not be listed as authors because they cannot be responsible for the accuracy, integrity, and originality of the work」です。

正確さ・誠実さ・独自性に責任を負えないから、というのがその理由として書かれています。

2つ目は、AIが出す英語は文法として整っていても、主張の強さが原稿とずれることです。

あなたが「示唆された」と書いたつもりの箇所が、AIの手で prove や demonstrate に置き換わることがあります。

3つ目は、型の当てはめと検査なら、正解を人が持ったまま作業だけを渡せることです。

口語の語を洗い出し、縮約形を探し、段落の構造を点検する作業は、人が手でやると時間だけが溶けます。

そこだけをAIに渡すと、原稿の中身は自分のまま、形だけが速く整います。

そして、AIを使ったかどうかを提出先に申告するかは、あなたの提出先の規程だけで決まります。

この記事に書いてある出版社の方針は、あくまでその出版社のものです。

自分が出す大学・学会・ジャーナルの投稿規程を、提出前に必ず自分の目で開いてください。

英語のアカデミックライティングが普通の英作文と違う5つの点

英語のアカデミックライティングは、英語が上手いかどうかを見せる場所ではありません。

読み手が「この主張はどこまで信じてよいか」を判断できる形になっているか、だけを見られます。

だから、普通の英作文で褒められる書き方が、そのまま減点になります。

違いは5つに整理できます。

#違う点普通の英作文アカデミックライティングAIに頼める部分
1主語の立て方I や you で書いてよい研究・結果・データを主語に立てるI think 型の文を機械的に洗い出す
2主張の強さ言い切ると評価されるデータで言える範囲までしか言わない断定語と緩和語の一覧を出させる
3語の選び方会話で使う語が自然句動詞より1語動詞、略語は初出で展開句動詞を1語動詞の候補へ置き換えさせる
4構成自由に組んでよいIMRaDなど分野の決まった順番がある手元の原稿を型の枠へ割り付けさせる
5出典不要なことが多い主張のたびに出典がいる出典が無い主張の箇所を指摘させる

この5つのうち、日本語話者がいちばん落とすのは2番の「主張の強さ」です。

日本語では「〜と考えられる」で書いていた文が、英語にすると This proves that になってしまうためです。

英語のほうが強い語になりやすいのは、単に語彙の在庫が少ないからです。

知っている動詞から選ぶと、いちばん強い語が出てきます。

ここはAIが得意な場所で、同じ意味の弱い言い方を並べさせるだけで解けます。

英語のアカデミックライティングで避ける表現の言い換え表

避ける表現は、覚えるものではなく、検索して潰すものです。

書き終わった原稿に対して、下の表の左側を1語ずつ検索にかければ、それで作業が終わります。

この作業は後半の指示文①と②でまとめてAIに渡せますが、表を先に見ておくと、AIの直しが妥当かどうかを自分で判断できます。

なお、話し言葉と書き言葉の距離については、Purdue OWLの「Levels of Formality」が、同じ内容をformal・semi-formal・informalの3段階で並べた例を出しています。

informalの例として挙げられているのが「Hi! I read in the paper that y’all were looking for a receptionist.」で、OWLはこれをIncorrectと注記しています。

避ける①縮約形と省略形

縮約形は、話し言葉を紙に写した形です。

意味は同じでも、読み手はそこで「この書き手は場面を読んでいない」と受け取ります。

避ける形書く形ひとこと
don’t / doesn’t / didn’tdo not / does not / did not検索は「n’t」の3文字で一気に拾える
can’t / won’t / isn’tcannot / will not / is notcannotは1語で書くのが一般的
it’s / they’re / we’veit is / they are / we haveit’sとitsの取り違えもここで消える
& andアンパサンドは本文では使わない
etc.such as A, B, and C列挙を途中でやめた印に見える
e.g. / i.e.(本文中)for example / that is括弧の中なら残してよい分野が多い
info / lab / examinformation / laboratory / examination口語の短縮は展開する
ASAP / FYIas soon as possible / 削るメールの語彙は持ち込まない

避ける②話し言葉の語

話し言葉の語は、意味が広いぶん、読み手が情報を受け取れません。

a lot of と書かれても、それが3件なのか3万件なのかが分からないからです。

避ける語書く語なぜ避けるか
a lot of / lots ofa considerable number of / numerous量が測れない
stuff / thingsfactors / elements / variables指す対象が決まらない
getobtain / acquire / receive意味が広すぎる
kind of / sort ofsomewhat / to some extentぼかしが口語の形になっている
nowadaysin recent years / currentlyいつを指すか決まらない
a bit / a littleslightly / marginally差の大きさが伝わらない
so(接続)therefore / consequently因果の強さが示せない
But / And / Also(文頭)However / In addition / Furthermore分野によっては許容されるが、初稿では避ける
you(総称)one / researchers / participants読者を名指ししてしまう
Let’sThis section examines呼びかけは論文の声ではない

文頭の But と And は、分野や雑誌によっては使われています。

判断がつかないうちは、自分の分野の最近の論文を3本開いて、文頭に何が来ているかを数えるのがいちばん速い確認です。

避ける③主観の形容詞

good・bad・interesting・amazing のような語は、書き手の感想であって、データではありません。

読み手はそこで「根拠は何か」を探し、見つからないと主張全体を割り引きます。

避ける語書く語置き換えの考え方
good / badfavorable / adverse何にとって良いのかを添える
big / hugesubstantial / considerable可能なら実数に置き換える
very / reallymarkedly / considerably強調語は1文に1つまで
interestingnoteworthy / unexpected何が予想と違ったのかを書く
easy / hardstraightforward / challenging誰にとってかを添える
obviously / of course削る自明なら書く必要がない
It’s clear thatThe results indicate that根拠の出どころを主語にする
amazing / terrible削る評価は読み手の仕事

obviously と of course は、置き換えるのではなく消すのが正解です。

本当に自明なら書く必要がなく、自明でないなら根拠がいるからです。

避ける④I thinkの型

I think は、間違いではありません。

ただ、論文の中では「誰がそう考えたか」より「何がそれを支えているか」のほうが情報量が多くなります。

そこで、主語を人から研究や結果へ移します。

避ける形書く形主語が何に変わったか
I think that X is YThe results suggest that X is Y私 → 結果
I believeThis study argues that私 → この研究
In my opinionIt can be argued that私 → 主張そのもの
I found thatThe analysis revealed that私 → 分析
We didn’t see any differenceNo significant difference was observed私たち → 差そのもの
I feel likeThe data indicate that私 → データ

ここで1つ注意があります。

we を一律に禁止している分野と、we を推奨している分野が両方あります。

この点も、自分の提出先の規程と、その雑誌の最近の号で確認してください。

避ける⑤句動詞は1語動詞へ

句動詞は、英語の中でもっとも会話寄りの語彙です。

同じ意味のラテン語由来の1語動詞に置き換えるだけで、文の見た目が一段変わります。

句動詞1語動詞使いどころ
look intoinvestigate / examine方法の章
find outdetermine / ascertain方法・結果
go up / go downincrease / decrease結果の記述
deal withaddress / handle導入・考察
talk aboutdiscuss / examine考察
figure outdetermine方法
come up withpropose / develop導入・考察
put up withtolerate考察
point outnote / indicate先行研究の紹介
carry outconduct / perform方法
set upestablish / configure方法
cut downreduce結果・考察

ただし、句動詞を全部消すと、今度は読みにくい文章になります。

Purdue OWLのConciseness(簡潔さ)のページは、22語の文を10語へ削った例を挙げて、語数を減らすこと自体を目的に置いています。

つまり、1語動詞に置き換えて文が長くなるなら、その置き換えは目的から外れています。

避ける⑥断定しすぎる語

これがいちばん取り返しがつかない種類の失敗です。

語彙の問題ではなく、データで言えない範囲まで言ってしまったという指摘になるからです。

強すぎる形弱めた形どこまで言えるか
This proves thatThese findings suggest that1つの研究で証明は成立しにくい
always / neverconsistently / rarely例外を1件でも見落とすと崩れる
all participantsmost participants (n = …)実数を添える
will improvemay improve / is likely to improve将来の断定は避ける
X causes YX is associated with Y相関と因果を分ける
the best methoda more effective method in this context条件を添える
It is obvious thatThe present data indicate that根拠を主語に置く
completely eliminatessubstantially reducesゼロの主張は検証が重い

弱める語の在庫は、実は10個もあれば足ります。

may・might・could・appear to・seem to・suggest・indicate・tend to・be likely to・relatively の10個です。

この10個を手元に置いて、断定している文を見つけるたびに当てはめていきます。

英語のアカデミックライティングの構成の型(IMRaDと段落の型)

構成は、考えるものではなく、当てはめるものです。

型が決まっているから、読み手は探している情報がどこにあるかを迷わずに済みます。

そしてAIは、この「当てはめ」がとても速い道具です。

ここでは、全体・導入・段落・つなぎの4段階に分けて型を並べます。

型①IMRaDで全体を割る

IMRaDは、Introduction・Methods・Results・and Discussion の頭文字です。

自然科学と医学で広く使われている並び順で、章ごとに答えるべき質問が決まっています。

章答える質問入れるもの入れてはいけないもの時制の目安
Introductionなぜこの研究が必要か背景・先行研究の隙間・目的今回の結果現在形と現在完了形
Methods何をどうやったか対象・手順・分析方法結果の解釈過去形
Results何が出たか数値・図表・統計意味づけ・評価過去形
Discussionそれは何を意味するか解釈・先行研究との比較・限界新しいデータ現在形と過去形の混在

いちばん多い崩れは、Resultsに解釈が混ざることです。

「この値は高かった」はResultsですが、「この値が高いのは◯◯のためだと考えられる」はDiscussionです。

この切り分けは、指示文④で機械的に検出させられます。

型②導入は3つの動き

導入(Introduction)だけは、他の章より組み立てが難しくなります。

「なぜこの研究に価値があるか」を、読み手が納得する順番で置く必要があるからです。

実務では、次の3つの動きで組むと迷いません。

動きやることよく使う型長さの目安
動き1|場所を決めるこの分野が重要であることを示すX has attracted increasing attention in …2〜3文
動き2|隙間を見せるまだ分かっていないことを1つに絞るHowever, little is known about …2〜4文
動き3|隙間を埋める本研究が何をするかを宣言するThis study therefore examines …2〜3文

動き2で隙間を2つ以上挙げると、動き3で研究の目的がぼやけます。

隙間は1つに絞るのが、導入をいちばん短くする方法です。

型③段落はTEECで組む

英語の段落は、1段落に1つの主張しか置きません。

そして、その主張を段落の1文目に置きます。

この形をTEECと呼ぶことがあります。

記号何を置くか文数の目安飛ばすと起きること
T(Topic)この段落の主張を1文で1文読み手が段落の用件を最後まで掴めない
E(Evidence)数値・引用・観察1〜3文主張が感想として読まれる
E(Explanation)その証拠が主張をどう支えるか1〜2文証拠を並べただけで終わる
C(Connection)次の段落へのつなぎ0〜1文段落が独立した箇条書きに見える

日本語の論文を英語にすると、T が段落の最後に来ていることがよくあります。

これは日本語の書き方の癖で、英語として間違っているわけではありません。

ただ、英語の読み手は1文目だけを拾って全体を掴もうとするので、そこに主張が無いと読む速度が落ちます。

型④つなぎ語は機能で選ぶ

つなぎ語(transition words)は、覚えた順に使うと同じ語ばかりになります。

選び方は簡単で、前の文と次の文の関係を先に決めて、その関係の欄から1つ取るだけです。

関係使う語置く位置
付け足すFurthermore / Moreover / In addition文頭
逆にするHowever / Nevertheless / In contrast文頭
理由を示すbecause / since / given that文中
結果を示すTherefore / Consequently / As a result文頭
例を出すFor example / For instance / Specifically文頭
条件を付けるAlthough / Whereas / While文頭か文中
言い換えるIn other words / That is文頭
まとめるOverall / Taken together / In sum文頭

この表で足りることが分かると、つなぎ語を辞書で探す時間がまるごと消えます。

同じ語が1段落に2回出たら、別の欄の語に替えるだけで単調さが取れます。

英語のアカデミックライティングにAIを使う前に確認する提出先の規程

ここがこの記事でいちばん大事な章です。

AIを使ってよいかどうかは、大学・学会・出版社ごとに違います。

同じ「AIで英語を直した」という行為でも、申告がいる場所と、いらない場所があります。

だから、ここに並べるのは「こう決めている団体がある」という実例だけです。

あなたの提出先がどうかは、あなたの提出先の規程にしか書いてありません。

下の3つは、公式ページの内容を直接確認したものです。

出している団体AIを著者にできるか申告の扱い特徴
ICMJE(国際医学雑誌編集者委員会)できない投稿時に使用の有無を開示させる、と勧告使い道ごとに書く場所を分ける
Nature Portfolioできない用途をgreen・amber・redの3段階で分けて扱う禁止ではなく段階で示している
Elsevierできない原稿に独立した宣言文を入れる宣言文の書式まで指定されている

ICMJEは、投稿時にAI支援技術を使ったかどうかを著者に開示させるよう雑誌側へ求めています。

そのうえで、使い道によって書く場所を分けるよう書いています。

執筆の補助に使ったなら謝辞(acknowledgment)へ、データ収集や解析や図の生成に使ったなら方法(methods)へ、という分け方です。

Nature Portfolioは、AIの用途を3つの段階に分けた枠組みを公開しています。

段階Nature Portfolioの説明挙げられている例扱い
Green(低リスク・許容)表現・構成・効率を支える使い方で、学術的判断に影響しないもの言語を磨く/章の構成や書式の提案/翻訳/データの重複削除Permitted(開示は信頼と透明性を高める)
Amber(注意して使う)解釈・枠組み・強調・評価的判断に影響しうるが、人の管理下にあるもの分析や手法の提案/説明的な要約の起草/大幅な推敲や執筆支援Permitted(人の監督・検証・開示が条件)
Red(許容されない)不透明であるか、責任ある人の関与を置き換えてしまうものAIが出した仮説や結論を人由来として提示/データや引用の捏造/査読をAIに委ねるNot permitted

この3段階の設計が優れているのは、線がどこにあるかを言葉で説明している点です。

Greenの条件として挙げられているのは「AIが新しい知的内容を持ち込まないこと」と「学術的判断の責任が明確に人にあること」の2つです。

この2つを自分の使い方に当てはめれば、申告がいるかどうかを自分で見当づけられます。

Elsevierは、宣言文の書式まで指定しています。

公式ページに載っている書式は次のとおりです。

Title of section:
Declaration of generative AI and AI-assisted technologies in the manuscript preparation process

Statement:
During the preparation of this work, the author(s) used [NAME OF TOOL / SERVICE]
in order to [REASON]. After using this tool/service, the author(s) reviewed and
edited the content as needed and take(s) full responsibility for the content of
the published article.

同じページには、申告がいらない範囲も書かれています。

文法・スペル・句読点の基本的な確認は宣言文がいらない、という内容です。

一方で、文の構造や文章の組み立てにAIが実質的な変更を加えたときは開示すべき、とも書かれています。

この境目は、実務でいちばん迷う場所です。

迷ったときの目安を1つだけ挙げるなら、「AIに投げる前と後で、段落の順番か主張の強さが変わったか」です。

変わっていれば、それは基本的な確認の範囲を出ています。

そしてもう1つ、3団体に共通していることがあります。

AIを著者として並べることは、どこも認めていません。

Elsevierの表現では、著者であることは人だけが負える責任と仕事を意味する、という書き方になっています。

英語のアカデミックライティングをAIで書く90分の手順(分単位)

ここからは、実際の手を動かす順番です。

対象は、日本語でメモがある状態から、英語の初稿を1本仕上げるまでです。

この手順の要点は、AIに投げる順番を固定することです。

先に英語を作らせてから構成を直すと、直しが全文に波及して二度手間になります。

時間やること使うもの終わったときに手元にあるもの
0:00〜10:00日本語で主張を1文だけ書く。段落の順番も日本語で並べる紙かメモアプリ主張1文と、段落の順番
10:00〜15:00提出先の投稿規程のAIの項を開いて、申告の有無をメモする提出先の公式ページ申告するかどうかの判断
15:00〜25:00段落ごとにTEECのTだけを英語で書く(証拠はまだ書かない)自分の手主張だけが並んだ骨組み
25:00〜45:00各Tの下に証拠と説明を自分の英語で埋める。語の正しさは気にしない自分の手荒い初稿
45:00〜52:00指示文①を投げて、口語の語を洗い出させるAI置き換え候補の一覧
52:00〜58:00指示文②を投げて、縮約形と句動詞を直させるAI語彙が整った原稿
58:00〜66:00指示文③を投げて、主張が強すぎる文を全部出させるAI強さを直す箇所の一覧
66:00〜74:00指示文④を投げて、段落の型を点検させるAITが1文目に無い段落の一覧
74:00〜82:00AIの直しを1件ずつ採否する。採らなかった理由を1行で残す自分の判断採否の記録
82:00〜90:00出典と数値を原資料と突き合わせる。AIの出力は見ない原資料提出できる初稿

この表でいちばん飛ばされやすいのが、10分から15分の5分間です。

提出先の規程を後回しにすると、書き終わってから申告の要否を調べることになります。

そのときには、AIに何をどこまでやらせたかを、もう思い出せません。

もう1つ飛ばされやすいのが、74分からの採否の記録です。

ここを残しておくと、宣言文を書くときに「何のために使ったか」をそのまま写せます。

記録に書くのは、日時・使った道具の名前・投げた指示文の番号・採った件数の4つだけです。

英語のアカデミックライティングで使うAI指示文8本(コピーして使えます)

ここから下の8本は、そのままコピーして使えます。

8本に共通する設計は3つあります。

1つ目は、書き換えた原稿ではなく「指摘の一覧」を出させることです。

書き換え後の全文をもらうと、どこが変わったのか分からないまま採用することになります。

2つ目は、役割と出力形式を先に固定することです。

OpenAIの公式ガイド「Prompt engineering」も、モデルの振る舞いに関する高水準の指示を先に与える方法を説明しています。

3つ目は、例を1つ入れることです。

同じ公式ガイドには、few-shot learningとして、入力と出力の例をいくつか含めることで狙った形に寄せる方法が載っています。

指示文①口語の語を洗い出す

あなたは英文学術論文の校閲者です。
これから英語の原稿を貼ります。書き換えはしないでください。

次の6種類に当てはまる箇所を、すべて拾い上げてください。
1. 縮約形(don't, it's など)
2. 口語の語(a lot of, stuff, get, nowadays など)
3. 主観の形容詞(good, big, interesting, very など)
4. 総称の you
5. 文頭の But / And / Also / So
6. 略語のうち初出で展開されていないもの

出力は表だけにしてください。列は次の5つです。
| 箇所の原文 | 種類(1〜6) | なぜ学術文で避けるか | 置き換え候補を3つ | 置き換えると語数が増えるか |

例:
| It's a lot of data. | 1,2 | 縮約形と量の不明確さ | These data are extensive / A considerable amount of data / Numerous data points | 増える |

判定に迷った箇所は、拾ったうえで「迷い」と書いてください。
拾わずに飛ばすことはしないでください。

最後の2行が、この指示文のいちばん効く部分です。

これを入れないと、AIは自信のある箇所だけを返して、微妙な箇所を黙って落とします。

指示文②縮約形と句動詞を直す

あなたは英文学術論文の校閲者です。
これから英語の原稿を貼ります。

やることは2つだけです。それ以外は1文字も変えないでください。
A. 縮約形を展開する(don't → do not)
B. 句動詞を、同じ意味の1語動詞に置き換える

Bには条件があります。
・置き換えると文が長くなる場合は、置き換えずに「据え置き」と書く
・分野によっては句動詞のほうが自然な場合があるので、その可能性がある語には「要判断」と書く

出力は表だけにしてください。列は次の4つです。
| 原文 | 直した形 | A か B か | 据え置き・要判断の理由 |

表の下に、直していない箇所の数を1行で書いてください。
書き換えた全文は出さないでください。

「それ以外は1文字も変えないでください」を入れておくと、勝手な意訳が止まります。

指示文③主張の強さを測る

あなたは査読者です。
これから英語の原稿を貼ります。書き換えはしないでください。

各文について、主張の強さを5段階で採点してください。
5 = 断定(proves, always, all, never, causes)
4 = 強い主張(demonstrates, clearly shows)
3 = 標準(indicates, shows)
2 = 控えめ(suggests, appears to)
1 = 弱い(may, might, could)

出力は表だけにしてください。列は次の5つです。
| 文番号 | 原文 | 強さ(1〜5) | その強さを支える根拠が同じ段落にあるか | 1段階下げた言い換え |

表の下に、次の2つを書いてください。
・強さ4以上なのに、同じ段落に数値や出典が無い文の番号
・相関を因果として書いている可能性がある文の番号

原稿の内容が正しいかどうかは判定しないでください。
文の強さと、根拠の有無だけを見てください。

これが8本の中でいちばん使う指示文です。

査読で指摘される内容の多くが、言葉の強さと根拠の不一致に集まるためです。

指示文④段落をTEECで点検

あなたは英文ライティングの指導者です。
これから英語の原稿を貼ります。書き換えはしないでください。

段落ごとに、次の4つが揃っているかを判定してください。
T = この段落の主張が1文目に置かれているか
E1 = 数値・引用・観察などの証拠があるか
E2 = その証拠が主張をどう支えるかの説明があるか
C = 次の段落へのつながりがあるか

出力は表だけにしてください。列は次の6つです。
| 段落番号 | 1文目の原文 | T | E1 | E2 | C |
(T・E1・E2・Cは ○ か × で埋める)

表の下に、次の3つを書いてください。
・Tが×の段落について、その段落の中で主張に近い文はどれか(文をそのまま引用)
・1つの段落に2つ以上の主張が入っている段落の番号
・IMRaDのResultsに当たる段落に、解釈が混ざっている箇所(原文を引用)

最後の1行が、Resultsと Discussionの混線を機械的に拾います。

指示文⑤つなぎ語を機能で直す

あなたは英文学術論文の校閲者です。
これから英語の原稿を貼ります。

つなぎ語(transition words)だけを見てください。

出力は表だけにしてください。列は次の5つです。
| 文番号 | 使われているつなぎ語 | 前後の文の実際の関係 | その語は関係に合っているか | 合っていない場合の候補3つ |

「前後の文の実際の関係」は、次の8つから選んでください。
付け足す/逆にする/理由を示す/結果を示す/例を出す/条件を付ける/言い換える/まとめる

表の下に、次の2つを書いてください。
・同じつなぎ語が3回以上使われている場合、その語と回数
・つなぎ語が無いために関係が読み取りにくい箇所の文番号

指示文⑥アブストラクトの骨組み

あなたは英文学術論文の編集者です。
これから本文を貼ります。

本文から、次の5つに当たる文を抜き出してください。
1. 背景(なぜこの研究が必要か)
2. 目的(何を明らかにするか)
3. 方法(何をどうやったか)
4. 結果(何が出たか。数値があれば数値ごと)
5. 結論(それは何を意味するか)

条件があります。
・本文に書かれていない内容を補わないでください
・本文に見当たらない項目は「本文に無し」と書いてください
・抜き出しは原文のまま。言い換えはしないでください

出力は表だけにしてください。列は次の3つです。
| 項目(1〜5) | 抜き出した原文 | 本文の何段落目か |

表の下に、5つのうち本文に無かった項目を並べてください。

アブストラクトをAIに書かせないのが、この指示文の要点です。

抜き出しまでをAIにやらせて、つなぐのは自分の手でやります。

抜き出す段階で「本文に無し」が出たら、それはアブストラクトの問題ではなく本文の穴です。

指示文⑦査読者の目で反論を出す

あなたは、この分野の厳しい査読者です。
これから英語の原稿を貼ります。

この原稿に対して、査読コメントを10件出してください。
褒める必要はありません。

各コメントには、次の3つを必ず入れてください。
・原稿のどの文に対する指摘か(原文を引用)
・何が問題か(主張の飛躍・根拠不足・用語の不統一・方法の記述不足のどれか)
・著者が取れる対応を2つ

出力は表だけにしてください。列は次の4つです。
| # | 引用した原文 | 問題の種類 | 取れる対応2つ |

条件があります。
・原稿に書かれていない事実を前提にした指摘はしないでください
・指摘できない場合は、その旨を書いてください

この指示文で出てくる10件のうち、採用するのは2件か3件で十分です。

全部に対応すると、原稿が防御的になって主張が消えます。

指示文⑧日本語の直訳を外す

あなたは、日本語を母語とする書き手の英文を長年見てきた校閲者です。
これから英語の原稿を貼ります。書き換えはしないでください。

日本語の構造がそのまま残っている箇所を拾ってください。
特に次の5つを見てください。
1. 主語が長すぎて、動詞が遠い文
2. 名詞を重ねて作った長い複合語
3. 「〜すること」をそのまま名詞化した重い主語
4. 1文に3つ以上の情報が詰まっている文
5. 段落の最後に主張が置かれている段落

出力は表だけにしてください。列は次の4つです。
| 原文 | 何番の型か | 日本語のどの発想が残っているか | 書き換えの方向(文ではなく方針で) |

最後に、拾った箇所のうち、直すと意味が変わる恐れがあるものを分けて並べてください。

8本とも、最後に「書き換えた全文は出さないでください」の一行を足すと、さらに扱いやすくなります。

全文を受け取らなければ、自分が書いた文として説明できない箇所が原稿に残りません。

AIが出した英語のアカデミックライティングを検査する5つの手順

AIの出力を受け取ったあとの検査は、順番が決まっています。

先に細かい語を直すと、あとで段落ごと消すことになって、直した時間が無駄になるからです。

だから、取り返しのつかない種類から順に見ます。

検査①事実と出典の裏取り

AIが出した出典は、1件ずつ原典に当たって存在を確かめます。

著者名・年・雑誌名・巻号・ページの5つが揃って初めて、その引用は使えます。

Nature Portfolioが許容されない例として挙げている項目にも、データや引用の捏造が入っています。

存在しない文献が1件混ざるだけで、原稿全体の信頼が落ちます。

検査②数字と単位の一致

AIに英語を整えさせると、数字がそのまま残らないことがあります。

小数点の桁、単位の表記、有効数字、サンプル数の4つを、原資料と突き合わせます。

この検査は、AIには絶対にやらせません。

数字を書き換えた当人に、書き換えの有無を判定させることになるからです。

検査③主張の強さの一致

指示文③の採点表を、自分の意図と並べて見比べます。

自分が3のつもりで書いた文が、5になっていないかを見る作業です。

ここで直す語は、たいてい動詞1つです。

prove を suggest に戻すだけで、その段落の責任範囲が元に戻ります。

検査④用語のゆれ

学術文では、同じものは同じ語で呼び続けます。

AIは文章を豊かにしようとして、同義語に置き換えることがあります。

participants が subjects になり、次の段落で respondents になる、という形です。

検索で数えて、1つに揃えます。

検査⑤自分の声で読む

最後に、原稿を声に出して読みます。

読んでいて意味が取れない箇所は、自分が理解していない箇所です。

そこはAIが埋めた場所である可能性が高く、質疑応答で答えられない場所になります。

読めない文は、意味が分かる範囲まで自分の言葉で書き直します。

英語のアカデミックライティングでAIに任せてはいけない線

任せてよい範囲と任せてはいけない範囲は、作業の種類ではなく、責任の所在で分かれます。

間違っていたときに誰が説明するのか、を基準にすると迷いません。

作業任せてよいか間違ったときに説明するのは誰か実務での扱い
縮約形を展開する任せてよい正誤が一意に決まるので問題が起きない全文を一度に投げてよい
句動詞を1語動詞へ置き換える任せてよい採否を人が決める候補を出させて自分で選ぶ
段落の構造を点検する任せてよい指摘の採否を人が決める指摘の一覧だけ受け取る
文章を読みやすく整える条件付き著者変更箇所の一覧を必ず受け取る
アブストラクトを書く条件付き著者抜き出しまで任せ、つなぐのは自分
出典を挙げさせる任せない著者存在の確認ができない出力は使わない
結論を考えさせる任せない著者主張は人が先に1文で決める
データを解釈させる任せない著者数値の意味づけは人の仕事
査読コメントに代筆で答える任せない著者論点の整理までにとどめる

この表の下3行は、Nature Portfolioがredの例として挙げている内容と重なります。

AIが出した仮説や分析や結論を、人が出したものとして提示することが、redの筆頭に並んでいます。

もう1つ、機密の問題もあります。

Nature Portfolio の査読者向けの決まりでは、原稿の内容を安全でない公開のAIツールへアップロードしてはなりません。

未公開の原稿を扱う立場なら、自分が使っている道具の保存設定を先に確認してください。

英語のアカデミックライティングでよくある失敗5つ

ここからは、英語講師・英語コーチとして原稿を見てきた中で、繰り返し見かけた型を5つ並べます。

どれも英語力の問題ではなく、手順の問題です。

失敗①いきなり英語で書かせる

日本語のメモをそのまま貼って、英語の原稿を出させる使い方です。

出てきた英語はきれいですが、主張が自分のものではなくなります。

直す順番は、主張を日本語で1文だけ先に決めることです。

失敗②出典をAIに出させる

「この主張を支える文献を5本挙げて」という使い方です。

形式の整った文献一覧が返ってくるので、確認を飛ばしやすくなります。

文献はデータベースで探し、AIには要約の下書きだけを渡す形にします。

失敗③全文を一度に投げる

原稿全体を貼って「学術的に直して」と頼む使い方です。

返ってきた全文のどこが変わったのかを追えず、採否の判断ができません。

章ごとに分けて、指摘の一覧だけを受け取る形にします。

失敗④規程を読まずに提出する

AIの使い方を決めてから、提出先の規程を読む順番です。

この順番だと、規程に合わせて原稿を作り直すことになります。

規程は書き始める前に開いて、申告の要否だけ先にメモしておきます。

失敗⑤直された理由を残さない

AIの直しをそのまま採用して、なぜ直したのかを残さない使い方です。

同じ癖を次の原稿でも繰り返すので、毎回同じ場所を直すことになります。

採った直しを3行だけメモに残すと、3本目あたりから同じ指摘が出なくなります。

英語のアカデミックライティングとAIについてよくある質問

AIで英語を直すと盗用になりますか?

盗用(plagiarism)と、AIの使用の開示は、別の論点として扱われています。

盗用は他人の文章や考えを出典なしに使うことで、AIで自分の文を直すこととは判定の軸が違います。

ただし、扱いは提出先ごとに決まるので、自分の大学・学会の規程で確認してください。

どのAIを使えばよいですか?

道具の名前より、保存設定と、指示文の設計のほうが結果を分けます。

未公開の原稿を貼るなら、入力が学習に使われない設定になっているかを先に確認してください。

そのうえで、この記事の指示文8本をそのまま使えば、道具が変わっても出力の形は揃います。

日本語で書いてから訳してもよいですか?

主張と構成を日本語で決めるのは、むしろ勧められる順番です。

ただし、日本語の文章をまるごと訳させると、段落の主張が最後に来る日本語の構造が残ります。

段落ごとに主張の1文だけを先に英語で書いてから、中身を埋める順番にしてください。

なお、翻訳はNature Portfolioがgreenの例に挙げている用途の1つです。

英文校正サービスとAIはどちらがよいですか?

役割が違うので、比べる対象ではありません。

AIは回数の制限なく何度でも同じ検査を回せますが、分野の慣習までは判断できません。

実務では、AIで語彙と構造を整えてから、人の校正へ回すと、指摘が中身に集中します。

AIの使用は申告しなければなりませんか?

提出先によります。

Elsevierは、文法・スペル・句読点の基本的な確認には宣言文がいらないとしたうえで、文の構造や組み立てに実質的な変更が入ったときは開示すべきとしています。

ICMJEは、投稿時に使用の有無を著者へ開示させるよう雑誌側に求めています。

この2つは別々の団体の方針なので、あなたの提出先がどちらに近いかは、提出先の規程でしか分かりません。

英語力が低くても使えますか?

使えますが、採否の判断ができる範囲までは、自分の英語力が必要になります。

私自身、30歳で英検3級から英語をやり直した経験があるので、この壁は実感があります。

先に進む順番としては、指示文①と②のような正誤が一意に決まる検査から使い始めるのが安全です。

まとめ|英語のアカデミックライティングはAIを検査役として回す

この記事の要点は3つです。

1つ目は、AIに渡すのは型の当てはめと検査の2つだけで、中身は自分が持ち続けることです。

2つ目は、避ける表現は覚えるのではなく、表を見ながら検索して潰す作業に変えることです。

3つ目は、書き始める前に提出先の規程を開いて、申告の要否を先に決めておくことです。

この3つを守ると、AIを使っても原稿の主張は自分のものとして残ります。

今日から始めるなら、手元の原稿に指示文③だけを投げてみてください。

強さ4以上なのに根拠が同じ段落に無い文が、何本あるかが分かります。

その本数が、いまの原稿と査読者の距離です。

書いた原稿を口頭発表で読む段階まで来たら、発音を音ごとに採点してくれるアプリを1つ持っておくと、自分では気づきにくい音のずれが点数で見えます。

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この記事で確認した一次ソース

本文の引用と方針の記述は、次のページを直接開いて確認しています。

各団体の方針は更新されることがあるので、提出の直前に必ず最新の内容を確認してください。

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