英語の教材が続かない人の多くは、教材の質ではなく「合っていないもの」を選んでいます。
合っていないかどうかは、自分の語彙レベルを知らないと判定できません。
そして語彙レベルは、正確な語彙数を当てにいかなくても実用になります。
必要なのは「いま手元にあるこの教材が、自分に合っているかどうかを決められる数字」だけです。
その数字は、英文を100語だけ取って、知らない語を数えれば10分で出ます。
この記事では、自分で測る分単位の手順、既知語率から可否を決める判定表、AIに投げる指示文6本を置きます。
あわせて、AIが出す「あなたの語彙数は◯語です」という推定を鵜呑みにしてはいけない理由も書きます。
【結論】語彙レベルは「正確な語彙数」ではなく「教材が合っているか」を判定できる数字で足ります
語彙レベルの測定でやるべきことは1つです。手元の英文100語のうち、知らない語が何語あるかを数えることです。
理由は3つあります。
1つ目は、語彙数の推定値が教材選びの役に立たないことです。
「語彙数5,000語」と言われても、目の前の洋書が読めるかどうかは分かりません。
2つ目は、既知語率なら、教材ごとに数字が出ることです。
同じ人でも、ニュース記事では既知語率88%、ビジネスメールでは97%といったことが普通に起きます。
教材が合うかどうかは、人ではなく「人と教材の組み合わせ」で決まります。
3つ目は、既知語率の意味づけに、公開された基準が存在することです。
New General Service List Project は「Why It Works」のページで、読解研究に基づく3つの目安を示しています。
90%では理解は基礎的にとどまり、未知語を文脈から推測するのが難しく、読むのが遅く気が滅入る。95%では理解が良好になり、文脈の手がかりが働き始める。98%では楽しみのために読めるほど快適になる、という3段です(2026年9月16日に本文を取得して確認)。
この3つの数字があるので、100語中の未知語を数えるだけで判定に届きます。
未知語2語なら98%、5語なら95%、10語なら90%です。指を折れば足ります。
語彙レベルを知らないまま教材を選ぶと何が起きるか
教材選びの失敗は、たいてい「難しすぎる」ほうに偏ります。
書店でもアプリでも、人は自分が届いてほしいレベルのほうを手に取るからです。
指導の現場で見ていても、途中でやめた教材は、ほぼ例外なく既知語率が足りていませんでした。
やめた理由として語られるのは「時間がなかった」ですが、実際に起きていたのは辞書を引く回数が多すぎたことです。
| 語彙レベルを測らないまま選んだとき | その場で起きること | 本人の自己申告 | 本当の原因 |
|---|---|---|---|
| 未知語が多すぎる洋書を選ぶ | 1ページで辞書を8回引き、話の筋が消える | 「集中力が続かない」 | 既知語率が90%を下回っている |
| 未知語が多すぎる音声を選ぶ | 知っている語まで聞き取れなくなる | 「耳が悪い」 | 未知語の処理に注意が全部取られている |
| やさしすぎる教材を続ける | 1週間で飽きて別の教材を探し始める | 「この教材は合わない」 | 既知語率が100%に近く、新しい語が入らない |
| 単語帳だけをレベル無視で回す | 覚えた語が読む素材に出てこない | 「覚えてもすぐ忘れる」 | 使う場面と頻度帯が噛み合っていない |
| 教材を次々に変える | どれも3日でやめる | 「意志が弱い」 | どの教材も測っていないので当たりを引けない |
この表の右端だけが、数字にできる部分です。
意志や集中力は測れませんが、既知語率は測れます。
測れるほうを先に片づけると、残りの問題がはっきり見えます。
語彙レベルの土台は既知語率|90%・95%・98%で読み方が変わります
既知語率とは、その文章に出てくる語のうち、自分が意味を知っている語の割合です。
英語の語彙研究で「カバー率(coverage)」と呼ばれているものと同じ考え方です。
なぜこの割合が効くのかというと、英語では少数の語が文章の大半を占めているからです。
New General Service List Project の「Why It Works」には、最頻語の the だけで読み書きする英語の約6%を占め、上位10語で30%、最初の100語で58%、最初の1,000語で82%に達すると書かれています(2026年9月16日に本文を取得して確認)。
同じページには、英語には60万語以上があり、教養ある母語話者が知っているのはおそらく3万語程度だとも書かれています。
つまり語彙数を増やす競争は最初から勝てない設計で、頻度の高い語から押さえた人だけが早く読めるようになります。
既知語率90%|その教材は、いまは使わない
100語に10語、10語に1語が未知語という状態です。
1文が15語なら、1文半に1回は知らない語に当たります。
先ほどの一次ソースでは、この水準は理解が基礎的にとどまり、文脈からの推測が難しく、読むのが遅く気が滅入ると説明されています。
精読の題材としてなら使えますが、量を読む・聞く素材には向きません。
既知語率95%|辞書ありなら使える、学習用の教材になる
100語に5語、20語に1語が未知語です。
一次ソースでは、この水準で理解が良好になり、文脈の手がかりが働き始めるとされています。
新しい語が入ってくる余地があり、しかも話の筋が切れない、学習に一番向いた帯です。
教材を1冊だけ選ぶなら、この帯を狙うのが最短です。
既知語率98%|辞書なしで量を流せる
100語に2語、50語に1語が未知語です。
一次ソースでは、楽しみのために読めるほど快適になり、そこから本当の語彙の伸びが始まるとされています。
多読・多聴の素材、そして音読やシャドーイングの素材は、この帯から選びます。
聞く素材は読む素材より条件が厳しくなります。音声は戻れないからです。
語彙レベルを自分で測る手順|紙とペンで10分
道具は要りません。測りたい教材と、数を書き留めるものだけです。
ここで測るのは「自分の語彙数」ではなく「この教材に対する自分の既知語率」です。
だから教材が変われば測り直します。そのかわり1回10分で終わります。
| 経過 | この時間にやること | 切り上げる合図 |
|---|---|---|
| 0:00〜1:00 | 測りたい教材を開き、本文の途中から100語を切り出す。最初のページは使わない | 100語を数え終えた時点で次へ |
| 1:00〜4:00 | 辞書を閉じたまま通して読み、意味が出てこない語に印を付ける | 1回だけ読む。戻って読み直さない |
| 4:00〜5:00 | 印の数を数える。同じ語が2回出たら2語として数える | 数字を紙に書く |
| 5:00〜6:00 | 100から印の数を引く。それが既知語率(%) | 小数点以下は切り捨てる |
| 6:00〜8:00 | 別の場所から2つ目の100語を取り、同じことをする | 2回分の平均を取る |
| 8:00〜9:00 | 判定表(次の見出し)に当てて、読む用か聞く用か使わないかを決める | 決めたら1行メモする |
| 9:00〜10:00 | 印を付けた語のうち、2回以上出た語だけを書き出す | 10語を超えたら上から10語で止める |
2回測るのは、1回だけだと運の要素が大きすぎるからです。
同じ本でも、会話の場面と描写の場面では未知語の数が倍ほど違うことがあります。
数え方で迷うところの決め方
- 人名・地名・会社名は数えない(100語からも外し、その分だけ後ろから足す)
- go・goes・going・went は同じ1語として扱う(活用は別の語にしない)
- 「見たことはあるが意味が出てこない」は未知語に入れる(読めるかどうかが基準)
- 句動詞(put off など)は、意味が取れなければ1語の未知語として数える
- 数字・記号は数えない
厳密さより、毎回同じルールで数えることのほうが大事です。
基準が動かなければ、教材どうしを比べられます。
語彙レベルの判定表|既知語率から読む・聞くの可否を決める
出した数字を、そのまま行動に変換する表です。
読む素材と聞く素材で線が違うことに注意してください。
| 100語中の未知語 | 既知語率 | 読む素材として | 聞く素材として | そのときの動き |
|---|---|---|---|---|
| 0〜1語 | 99%以上 | やさしすぎる | ちょうどよい | 読む素材は1段上げる。音読・シャドーイングに回す |
| 2語 | 98% | 多読に向く | ちょうどよい | 辞書を閉じて量を流す。週の本数を増やす |
| 3〜5語 | 95〜97% | 学習用に最適 | やや難しい | 読む教材の本命にする。聞くなら台本を先に読む |
| 6〜9語 | 91〜94% | 精読なら可 | 向かない | 1日1段落だけ。未知語を先に潰してから読む |
| 10語以上 | 90%以下 | いまは使わない | 使わない | 棚に戻す。3か月後にもう一度測る |
10語以上だった教材を捨てる必要はありません。測り直す日を決めて棚に戻すだけです。
同じ本が半年後に95%になっていたときの手ごたえは、点数では出てこないものです。
そして、いま95%の教材を1冊持っているなら、それ以上の教材探しは不要です。
語彙レベルの測定でAIを使う指示文6本(そのままコピーできます)
AIに任せるのは、判定ではなく作業です。
未知語を頻度順に並べる、同じ内容をレベル別に書き直す、語のレベル分布を出す。どれも人が手でやると時間がかかります。
逆に「あなたは何語知っているか」をAIに決めさせると、当たりません。理由は次の見出しで書きます。
以下の6本は、ChatGPT・Claude・Geminiのどれでもそのまま貼って動く形にしてあります。
1本目:教材の未知語を頻度順に並べさせる
あなたは英語語彙の分析役です。
これから英文を渡します。次の順番で、日本語で答えてください。
1. 本文に出てくる語を、内容語(名詞・動詞・形容詞・副詞)だけに絞って一覧にする
2. それぞれの語を、英語全体での使用頻度が高い順に並べ替える
3. 次の3つの帯に分けて、帯ごとに表にする
(a) 最初の1000語に入る、ごく基本的な語
(b) 1000語から3000語のあたりに入る、一般的な語
(c) それより外側の、専門的または低頻度の語
4. 帯ごとの語数と、本文全体に占めるおおよその割合を表にする
5. (c) の語だけを、本文での意味とセットで並べる
条件
・語形は原形に直してから数える(goes と went は go として数える)
・人名・地名・商品名は分析から外し、外した語を最後に列挙する
・頻度の順位は目安であり厳密な数値ではない、と明記する
・褒め言葉と学習法の提案は書かない
英文:
(このあとに貼り付けます)
この表が出てきたら、(c) の語だけを見ます。
自分が付けた印の語と (c) が重なっていれば、その教材はレベルどおりです。
印が (a) や (b) に散っていたら、語彙ではなく読解速度の問題が混ざっています。
2本目:同じ内容を語彙レベル別に書き直させて、読める段を探す
次の英文を、語彙の難しさだけを変えて4段階に書き直してください。
内容・登場する情報・段落数は4つとも同じにしてください。
段階
A: 最初の1000語程度の基本語だけで書く
B: 3000語程度までの語で書く
C: 5000語程度までの語で書く
D: 元の英文のまま
出力の形
・A/B/C/D を順番に、英語だけで出す
・各段の下に、その段で使った「基本語より外の語」を英語で列挙する
・日本語訳は付けない
条件
・情報を削らない。難しい語をやさしい語や言い換えに置き換えることで調整する
・1文が長くなりすぎたら文を分けてよいが、内容は落とさない
・レベルの区切りは目安であり厳密な基準ではない、と最後に1行書く
英文:
(このあとに貼り付けます)
4段を読み比べて、辞書なしで最後まで読める一番上の段を探します。
その段が、いまの自分の語彙レベルの位置です。数字より正直に出ます。
この方法の良いところは、内容が同じなので比較が成立することです。
3本目:自分が書いた英文の語レベル分布を出させる
これから私が書いた英文を渡します。
私が「使える語」の幅を測りたいので、次の形で分析してください。日本語で答えてください。
1. 使われている内容語を全部抜き出し、原形に直す
2. 各語を頻度帯で3つに分ける
(a) 最初の1000語に入る基本語
(b) 1000語から3000語のあたりの語
(c) それより外側の語
3. 帯ごとの語数と割合を表にする
4. 同じ語を何回繰り返しているかを数え、3回以上使われた語を多い順に並べる
5. 「本当はもっと適切な語があるのに、基本語で代用している箇所」を5つまで挙げ、
元の表現 → より適切な語 の形で示す。理由も1行ずつ書く
条件
・文法の誤りの指摘はこの回答では書かない
・書き直した全文は出さない。指摘だけにする
・頻度帯はあくまで目安である、と明記する
私が書いた英文:
(このあとに貼り付けます)
読める語彙と使える語彙は別物で、たいていは使える側がずっと狭いです。
4番の「3回以上使った語」が、自分の口ぐせにあたります。
そこを1語ずつ入れ替えていくのが、使える語彙を広げる一番早い道です。
4本目:教材2つを同じ物差しで比べさせる
これから2つの英文(教材Aと教材B)を渡します。
どちらが語彙的に難しいかを、同じ物差しで比べてください。日本語で答えてください。
出力は表にして、列は次の6つにしてください。
・教材名(AかB)
・語数
・異なり語数(同じ語は1回だけ数える)
・最初の1000語に入る語の割合
・3000語より外側の語の割合
・1文あたりの平均語数
表の下に、次を書いてください。
1. どちらが難しいか、その判断の根拠となった列を1つ名指しする
2. AとBで差が出た原因を1つだけ挙げる(語彙の幅/専門語/文の長さ のどれか)
3. 先に取り組むならどちらかを1行で書く
条件
・数えられる根拠だけで判断する。印象で難易度を語らない
・数値は概算であることを明記する
教材A:
(このあとに貼り付けます)
教材B:
(このあとに貼り付けます)
教材を選ぶときは、レベル表示ではなくこの表で決めます。
出版社ごとにレベル表示の基準が違うので、表示だけでは比べられません。
5本目:未知語を「覚える順番」に並べ替えさせる
これから、私が知らなかった英単語のリストを渡します。
覚える順番を決めたいので、次の形で並べ替えてください。日本語で答えてください。
1. 各語を、英語全体での使われやすさが高い順に並べる
2. 表にして、列は次の5つにする
・単語
・日本語の意味(この文脈での意味を1つだけ)
・使われやすさの目安(高い/中くらい/低い)
・同じ意味で使えるもっと基本的な語(あれば)
・この語が出てきそうな場面(1つだけ)
3. 表の下に「今週はこの5語だけでよい」という形で5語を選び、選んだ理由を1行ずつ書く
条件
・語数が多くても省略せず、全部表に入れる
・派生語をまとめられる場合は1行にまとめ、まとめた旨を書く
・例文はこの回答には書かない
単語リスト:
(このあとに貼り付けます)
未知語を全部覚えようとすると、そこで止まります。
頻度の高い語から5語だけに絞ると、次の教材で再会する確率が上がります。
再会した語は、覚え直さなくても残ります。
6本目:既知語率から教材の使い道を判定させる
私が自分で測った数字を渡します。判定だけしてください。日本語で答えてください。
渡す数字
・教材の種類(読む/聞く)
・100語あたりの未知語の数(2回測った平均)
・1回読むのにかかった時間
次の3つだけを答えてください。
1. この教材を「多読・多聴に使う」「精読に使う」「いまは使わない」のどれにするか、1つだけ選ぶ
2. そう判断した理由を、渡した数字のどれを見たかを名指しして1行で書く
3. この教材を続ける場合、次に測り直すのはいつがよいかを1行で書く
条件
・励ましと一般的な勉強法は書かない
・渡していない情報について推測で補わない
・判断できない場合は「判断できない」と書き、何の数字が足りないかを言う
数字:
・教材の種類:
・100語あたりの未知語:
・1回読むのにかかった時間:
6本目は、自分の判定が迷ったときの二人目の目として使います。
渡しているのは自分で測った数字なので、AIが語彙数を当てにいく余地がありません。
AIが出す「あなたの語彙レベルは◯語です」を鵜呑みにしてはいけない4つの理由
チャット型のAIに「私の語彙数を推定して」と頼むと、たいてい具体的な数字が返ってきます。
「あなたの語彙数は5,000語程度です」といった一文です。
この数字は、学習の判断に使ってはいけません。理由は4つあります。
理由1:測定していないものを数字にしている
語彙サイズの測定は、本来は多数の項目に答えてもらい、正答から母集団を推定する手続きです。
New General Service List Project が公開している NGSL Placement Test も、10分弱の受検で「どの100語の頻度帯を学ぶべきか」を出す設計になっています(2026年9月16日にツール紹介ページの本文を取得して確認)。
問題に答えていないのに数字だけが出てきたなら、それは測定ではなく文章の生成です。
会話の印象から出した数字には、根拠がありません。
理由2:語彙数という単位が、そもそも定義で動く
go・goes・going・went を1語と数えるか4語と数えるかで、同じ人の語彙数が何倍にも変わります。
語族(word family)で数えるか、見出し語で数えるかも研究によって違います。
数え方を明示しない「5,000語」には、比べられる相手がいません。
他人の「1万語」と自分の「5,000語」を並べても、意味のある比較になりません。
理由3:読める語彙と使える語彙が混ざる
見て意味が分かる語と、自分の口から出てくる語は、同じ人でも大きく違います。
AIが出す1つの数字は、この2つを区別していません。
読む教材を選ぶのか、話す練習の負荷を決めるのかで、見るべき側が変わります。
だから3本目の指示文では、自分が書いた英文という「使った証拠」だけを渡しています。
理由4:数字が高く出ると、教材が難しくなる
これが実害としては一番大きい部分です。
AIは会話の流れで相手を持ち上げる方向に寄りやすく、推定値も高めに出がちです。
高い数字を信じて教材を1段上げると、既知語率が90%を切り、また続かない教材が1冊増えます。
語彙レベルの測定でAIに渡してよいのは、自分が数えた数字と、実際のテキストだけです。
| やること | AIに任せてよい | 自分で決める |
|---|---|---|
| 未知語の抽出と並べ替え | 任せてよい | — |
| テキストの語レベル分布の集計 | 任せてよい | — |
| 同じ内容のレベル別書き直し | 任せてよい | — |
| 未知語が何語あったかの数え上げ | — | 自分で数える |
| その教材を使うかどうかの判定 | — | 自分で決める |
| 自分の語彙数の推定 | 使わない | そもそも要らない |
語彙レベルは「使う側」でも測る|書いた英文からレベル分布を出す
読む側の語彙レベルだけを測っていると、話す・書くが伸びていないことに気づけません。
使える語彙は、証拠がないと測れません。証拠とは、自分が書いた英文です。
日記でもメールでも構いませんが、同じ題材で定期的に書くのが一番比べやすくなります。
手順は3つだけです。
- 同じお題で150語前後の英文を書く(辞書もAIも使わずに書き切る)
- 3本目の指示文に貼って、頻度帯ごとの語数と割合を出させる
- 「基本語で代用している箇所」の5件だけを直して、書き直した英文を保存する
月に1回これをやると、基本語の割合が少しずつ下がっていきます。
その下がり方が、使える語彙が広がった証拠になります。
語彙数の推定値と違って、これは自分の文章という現物から出た数字です。
30歳・英検3級から始めた身として言うと、伸びを実感できる数字を持っているかどうかが続くかどうかを分けます。
語彙レベルの測定でよくある失敗5つと直し方
ここを外すと、出した数字が使えなくなります。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 教材の冒頭で測る | 導入は易しく書かれているので既知語率が高く出る | 全体の3分の1あたりから100語を取る |
| 辞書を引きながら測る | 未知語が未知語として残らない | 1回目は辞書を閉じたまま通す |
| 1回しか測らない | 場面の当たり外れで数字が10ポイント動く | 離れた2か所で測って平均する |
| 同じ語を1回しか数えない | 本文中の負荷が実際より軽く見える | 出てきた回数ぶん数える |
| 数え方を毎回変える | 前回の数字と比べられない | 活用と句動詞の扱いをメモして固定する |
5つのうち、影響が一番大きいのは「冒頭で測る」です。
試し読みで「いけそう」と思って買った本が読めない原因は、たいていここにあります。
書店でもアプリのサンプルでも、めくるのは真ん中です。
語彙レベルの測定に使える無料の道具|NGSL Profiler と Placement Test
自分で数えるのが面倒になったときのために、無料で公開されている道具を挙げておきます。
いずれも New General Service List Project が公開しているもので、同プロジェクトのページには「ここにあるものはすべて無料」と書かれています(2026年9月16日に本文を取得して確認)。
ツール紹介のページでは、道具が3つの目的に分けて並べられています。教材を作るもの、語を覚えるもの、学習者が何を知っているかを測るものです。
テキストを貼って語彙レベルを見る|NGSL Profiler
紹介文には、任意のテキストを貼り付けると、カバー率・リスト外の語・固有名詞・読みやすさの統計が出ると書かれています。
つまり「この教材の語彙レベル」を、自分で数えずに出せます。
ただし出てくるのは教材側の数字で、自分の既知語率ではありません。
教材の難易度を比べる用途に使い、自分が読めるかどうかは100語を数えて決めます。
どの頻度帯を学ぶべきか出す|NGSL Placement Test
紹介文によると、通常10分以内で終わる短いオンラインテストで、学習者がどの100語の頻度帯を学ぶべきかを特定するものです。
出てくるのが「語彙数」ではなく「次に学ぶ帯」なのが、この道具の良いところです。
同じページには、Phil Bennett と Tim Stoeckel が作った NGSL・NAWL の診断テストも紹介されており、信頼性が .90 を超えると書かれています。
語彙レベルの物差しになるリストの数字
語彙レベルを語るときの土台になる数字も、同プロジェクトが公開しています。
| リスト | 語数 | カバー率(公式表記) | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| New General Service List(NGSL) | 2,809語 | 一般英語の92%以上 | ほぼ全員の出発点 |
| New Academic Word List(NAWL) | 960語 | アカデミックな文章の92% | 英語で学術文献を読む人 |
| TOEIC Service List(TSL) | 1,200語 | TOEICの99% | TOEIC対策をする人 |
| Business Service List(BSL) | 1,700語 | ビジネス英語の97% | 英語で働く人 |
| NGSL-Spoken(NGSL-S) | 721語 | —(会話で最も重要な語) | 話す・聞くに絞る人 |
| New Dolch List(NDL) | 874語 | —(子ども向けの英語) | 子どもと、その親や指導者 |
数字はすべて2026年9月16日に公式ページの本文を取得して確認したものです。
NGSL は2,809語で一般英語の92%程度を覆うとされ、さらに同プロジェクトのページには、ハリー・ポッターで93%、TOEICの試験で94%、Friends のようなテレビ番組では95%といった個別の数字も挙げられています。
ここから読めるのは、素材の種類が変われば同じ人の既知語率が動くという事実です。
だからこの記事は、一貫して「人の語彙数」ではなく「教材ごとの既知語率」を測る形にしています。
語彙レベルについてよくある質問
Q. 語彙レベルは何か月おきに測り直せばよいですか
A. 教材を変えるたびに測ります。期間で決める必要はありません。
同じ教材を使い続けている間は、3か月に1回で足ります。
測定そのものは学習ではないので、増やしても伸びません。
Q. TOEICの点数から語彙レベルは分かりますか
A. 教材選びの判断材料としては使いにくいです。
点数は語彙だけを測っているわけではなく、聞き取りや処理速度も混ざっています。
手元の1冊が読めるかどうかは、その1冊で100語を数えたほうが早く分かります。
Q. 既知語率が95%を超える教材が見つかりません
A. 探す場所を、学習者向けに語彙が制限された素材へ移してください。
語彙を段階的に制限した読み物(graded reader)は、まさにこの帯を作るために存在します。
New General Service List Project も、5,000語までの中頻度帯へ広げた NGSL-Graded Reader というリストを、そうした読み物を作る側のために公開しています。
2本目の指示文で、いま持っている素材を書き直させるのも同じ効果があります。
Q. 100語では少なすぎませんか
A. 研究のための測定なら少なすぎますが、教材を使うかどうかの判定には十分です。
100語で割り切れる数字になるので、割り算をしなくて済むのが最大の利点です。
精度が気になるなら、200語に増やすのではなく100語を3か所で測ります。
Q. AIに英文を貼るのが不安なときはどうしますか
A. 6本目の指示文だけは、英文を渡さずに数字だけで動きます。
自分で数えた未知語の数と教材の種類だけを渡す形なので、本文は一切出ていきません。
著作権のある教材を丸ごと貼る前に、その教材の利用条件を確認してください。
Q. 単語帳の「収録3,000語」と自分の語彙レベルは比べられますか
A. 収録語数と自分の既知語数は、別の物差しです。
単語帳が3,000語でも、そこに載っていない語が読みたい素材の中心にあれば既知語率は上がりません。
単語帳を選ぶときも、読みたい素材で100語を数えて、未知語が単語帳に載っているかを見るのが確実です。
まとめ|語彙レベルは今日10分で数字になります
- 測るのは「自分の語彙数」ではなく「この教材に対する既知語率」
- 教材の真ん中から100語を取り、辞書を閉じて未知語を数える
- 未知語2語=98%(多読向き)、5語=95%(学習向き)、10語=90%(いまは使わない)
- 離れた2か所で測って平均する。冒頭では測らない
- AIに任せるのは、未知語の並べ替え・レベル別の書き直し・語レベル分布の集計
- AIが出す語彙数の推定は、測定ではないので判断に使わない
- 使える語彙は、自分が書いた英文の頻度帯の分布で見る
語彙レベルを数字にすると、教材選びが好みの問題ではなくなります。
合わない教材をやめるときも、根拠があれば後ろめたさが残りません。
まずは、いま一番読みたい英文を開いて、真ん中の100語を数えるところからです。
この記事の情報の取り方
- 語数・カバー率・90%/95%/98%の目安は、2026年9月16日に New General Service List Project の該当ページを直接取得し、本文の表記を読んで書きました
- ツールの機能と所要時間は、同プロジェクトのツール紹介ページにあった説明文をそのまま写しています
- 語彙習得の研究の数値は、論文の一次資料に自分で当たれたものがないため、上記ページが明示している範囲だけを書いています
- 各AIサービスの料金と無料枠は、料金ページの本文を取得できなかったので書いていません
- 市販の語彙測定アプリの推定精度は、公式の記載を実測できなかったので扱っていません
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