
英語の受動態の使い方で止まるのは、be と -ed の形を忘れているからではありません。
「いつ受動態にするのか」を決める基準を持っていないことが原因です。
英語では、受動態にするかどうかは形の問題ではありません。
誰がやったかを文の中で言うのか、言わないのか、という情報の選び方の問題です。
選び方が決まっていないと、辞書を引いても答えは出ません。
この記事では、受動態にするかを30秒で決める2つの質問、そのままコピーできるAIへの指示文5本、15分で自分の英文を点検する分単位の手順を置きます。
扱うのは「どう決めるか」だけです。
文学的な文章表現としての受動態や、和文英訳の試験対策は扱いません。
【結論】英語の受動態の使い方は「誰がやったかを言うか」で決まる
英語の受動態の使い方は、形を暗記する作業ではありません。
目の前の文で「動作をした人を出すか、出さないか」を先に決めて、決めた結果として形を整える作業になります。
この順番にする理由は3つあります。
1つ目は、動作主を出すかどうかが決まると、by を付けるかどうかが自動で決まることです。
by を足すかどうかの条件は、はっきり決まっています。
原文は “We use the preposition by to introduce the doer or the agent of the action. We use this structure when the agent is important” です。
つまり by は受動態のセットで付いてくる部品ではなく、動作主が大事なときだけ足す部品になります。
2つ目は、動作主を出さないと決めた瞬間に、文の形が一気に減ることです。
原文は “Passive structures without an agent are very common” です。
by のない受動態は、英語では例外ではありません。
3つ目は、動作主の扱いが決まるとAIへの聞き方が変わることです。
「この英文は受動態で合っていますか」と投げると、返ってくるのは「自然です」という感想だけになりがちでしょう。
「この文で動作主を出す必要があるか、根拠つきで答えて」と投げると、by の有無と時制の対応まで一緒に出てきます。
聞き方を変えれば答えも変わる。
英語の受動態で迷う3つの原因|形を覚えても使い所が決まらない
迷いの正体は3つに絞れます。
どれも be + -ed の形を知っているかどうかとは関係がありません。
3つとも、日本語の書きぐせをそのまま英語に移したときに起きます。
「〜される」を全部受動態にしている
日本語の「される」は受け身だけの形ではありません。
尊敬にも、自発にも、可能にも同じ形が使われます。
「部長が説明されました」は受け身ではなく尊敬の表現です。
これをそのまま was explained にすると、部長が誰かに説明された、という別の意味になります。
日本語の「される」を見たら、まず受け身なのかどうかを日本語の側で切り分けてください。
動作主を出すべき場面で消している
受動態は動作主を隠せる形です。
隠せるからといって、隠していい場面と隠すと困る場面があります。
「誰がこの決定をしたのか」が読者の知りたい情報なら、隠した瞬間に文の価値が落ちてしまうでしょう。
報告書で The decision was made と書くだけでは、責任の所在が読者に伝わりません。
by を足すのは “when the agent is important” のとき、という線引きがここに当たります。
時制と受動態を同時に考えている
受動態の形が複雑に見えるのは、時制と受動態を一度に組み立てようとするからです。
実際は順番に決めれば1回に1つの判断で済みます。
原文は “We use passive forms of tenses in the same way as we use their active equivalents” です。
時制の意味は能動態と同じで、変わるのは be の形だけという意味になります。
先に時制を決め、そのあとで be をその時制に合わせる、という2段階にすれば迷いません。
英語の受動態を使うかどうかを30秒で決める手順|質問は2つだけ
判断の材料は2つしかありません。
順番に答えるだけで、受動態にするかどうかが決まります。
迷ったときは、この2問に戻ってください。
動作主は読者にとって必要な情報か
必要なら能動態にします。
必要でなければ受動態が候補に入ります。
判定の基準は「その人物の名前が抜けたら、文の価値が下がるか」です。
価値が下がらないなら、動作主は文に要りません。
動作主は分かっているか、明らかか
分かっていない場合は受動態を選びます。
My bike was stolen は、盗んだ人が分からないから受動態になっている文です。
動作主が “unknown or obvious” のときに選ぶ形です。
誰でも分かる場合も同じで、わざわざ言う必要がありません。
The results have just been published は、出したのが研究チームだと明らかなので動作主を省いています。
2問の答えを組み合わせる
1問目が「必要」なら、その時点で能動態で書きます。
1問目が「不要」で2問目が「分からない・明らか」なら受動態です。
1問目が「不要」なのに動作主をどうしても出したいときだけ、受動態に by を足します。
この3通り以外の組み合わせは出てきません。
英語の受動態の形は時制ごとに be を替えるだけ|一覧で確かめる
形が難しく見えるのは覚え方の順番のせいです。
変わるのは be の部分だけで、-ed の部分は動きません。
原文は “The most common passive structure is be + -ed form” です。
現在の話は am・are・is
It’s not made in China のように、いまの状態や一般的な事実に使います。
主語に合わせて be の形を替えるだけで、-ed はそのままです。
疑問文も同じで、Am I invited too? のように be を前に出します。
過去の話は was・were
The story was reported in yesterday’s paper が例です。
過去のできごとを、動作主を出さずに述べる形になります。
過去形の -ed と受動態の -ed が並んで見えるので、慣れるまでは be を先に探してください。
完了の話は have been・has been
He’s been hurt のように、have been と -ed を並べます。
現在完了の意味は能動態のときと同じで、いまにつながる結果を表します。
be の部分が been に変わるだけだと覚えれば、覚える形は増えません。
助動詞のあとは be の原形
Reservations can be accepted のように、can・will・might のあとは be を原形にします。
助動詞は形を変えないので、受動態を足しても語順は動きません。
これも -ed はそのままです。
進行形は being を挟む
We’re already being served が例になります。
いま進んでいる動作を受け身で述べるときだけ使う形です。
使う場面は多くないので、読んで分かれば十分でしょう。
英語の受動態で by を付ける場合と付けない場合|判定は情報の重さ
by を付けるかどうかは好みではありません。
動作主が文の中でどれだけ重いかで決まります。
ここを決めておくと、書いたあとで迷いません。
動作主が主役なら by で出す
The music was played by a local quartet は、演奏したのが誰かが読者の知りたい情報です。
この場合は by を付けて後ろに置きます。
後ろに置くこと自体が「ここが新しい情報だ」という合図になります。
動作主が要らないなら by は消す
All applications must be received before 31 July に動作主はありません。
受け取るのが担当部署だと明らかなので、書く必要がないからです。
by を付けないほうが自然になる文は、英語ではとても多いと辞書が明言しています。
道具は by ではなく with
The door was smashed open with a hammer が例です。
ハンマーは動作をした人ではありません。
原文は “When the doer or agent of the action is an instrument, we use with” です。
人なら by、道具なら with です。
覆われた・包まれた状態は in
I was covered in paint は、ペンキが動作主ではありません。
塗ったのは自分で、ペンキは結果として体を覆っているものです。
主語が本当の動作主でないときは、別の前置詞に替わります。
by covered という形にしないよう気をつけましょう。
動作主をぼかしたいときは it や there
It was decided to charge £10 per ticket は、誰が決めたかを出さない言い方です。
There were no comments given about the proposal も同じ働きをします。
原文は “We often use an impersonal expression with it or there when the agent is not important” です。
組織としての決定を述べる文で使いやすい形になります。
英語の受動態には get を使う形もある|be との差は場面と語感
受動態は be だけではありません。
get を使う形があり、意味の重心が少しずれます。
使う場面を分けておけば混ざりません。
形は get + -ed
原文は “We form the standard passive with be + -ed form. We form the get passive with get + -ed form” です。
The trees got damaged in the wind のように、be の位置に get が入るだけです。
時制は get の側で変えます。
話し言葉で使う形
原文は “We use the get passive especially in informal speaking” です。
論文や報告書では be の形を選んでください。
書くか話すかで選び分けるのが、いちばん外れにくい基準になります。
よくないできごとに寄る
Our car got stolen last night のように、望まないことに使われやすい形です。
原文は “The get passive is commonly used in speaking of events that are negative or not desired” です。
ただし Jim finally got promoted のような良い知らせにも使われます。
悪いことに寄りやすいが、悪いこと専用ではありません。
動作そのものに焦点が寄る
get の形は、状態よりも起きたことの成り行きに目が向きます。
動作の性質や、関わった人のほうに少し重みが乗るでしょう。
be の形が静かな記述で、get の形が動きのある記述になります。
自分にも責任があるときは再帰代名詞
I got myself locked out the other day が例です。
この形は、主語にも少なくとも一部の責任があることを示します。
鍵を置き忘れた自分の不注意まで含めた言い方になります。
英語の受動態をAIに練習させる指示文5本|そのままコピーして使う
ここからは実際に使う指示文です。
どれも、感想ではなく判定を返させる形にしてあります。
AIを替えても同じように動くでしょう。
動作主を出すべきか判定させる
あなたは英文法の判定役です。
これから英文を渡します。
その文で動作主を明示すべきかどうかを判定してください。
出力は次の3行だけにしてください。
1行目=出すべき/出さなくてよい
2行目=理由(読者にとって動作主が必要かどうかで述べる)
3行目=判定にしたがって書き直した英文
英文:
感想を禁じて3行に絞ると、判断の根拠が必ず言葉になって出てきます。
能動態と受動態を並べさせる
次の英文を、能動態と受動態の両方で書いてください。
出力は次の形にしてください。
能動態:
受動態(by あり):
受動態(by なし):
どれを選ぶべきか:1文で
英文:
3つ並べて初めて、by を消したときの読み手の印象が比べられます。
時制だけを点検させる
次の英文は受動態です。
be の形が時制と合っているかだけを点検してください。
語順・語彙・表現は変えないでください。
合っていれば「合っている」と1行で答えてください。
合っていなければ、正しい形と理由を1行で答えてください。
英文:
直す範囲を1点に絞ると、勝手な言い換えが返ってきません。
日本語の「される」を切り分けさせる
次の日本語の文の「される」が、受け身・尊敬・自発・可能のどれかを判定してください。
判定の根拠を1行で述べてください。
そのうえで、判定に合う英訳を1文だけ出してください。
受け身でない場合は、受動態を使わない英訳にしてください。
日本語:
日本語の側で切り分けてから訳すと、尊敬を受け身に訳す事故がなくなります。
受動態の数を減らして書き直させる
次の英文には受動態が複数あります。
意味を変えずに、受動態の数を半分に減らして書き直してください。
残した受動態については、なぜ残したかを1行で述べてください。
英文:
減らす作業をさせると、本当に必要だった受動態だけが残ります。
be の前後に置く冠詞のほうで迷う場合は、英語の冠詞の使い分けをAIで判定させる手順|a・anとtheと無冠詞の線引きもあわせて読んでください。↓

英語の受動態でやりがちな失敗5つ|直し方つき
ここからは実際に多い失敗です。
どれも形の間違いではなく、選び方の間違いになります。
直し方まで一緒に置きます。
自動詞を受動態にしている
The accident was happened は誤りです。
happen は目的語を取らない動詞なので、受動態にできません。
他動詞と自動詞の線引きが、そのまま受動態にできるかどうかの線になります。
The accident happened に直してください。
尊敬の「される」を受動態にしている
「社長が来日されました」を The president was come to Japan とは書けません。
これは尊敬の表現で、受け身ではないからです。
The president visited Japan で足ります。
日本語の敬語は、英語では受動態になりません。
by を毎回付けている
The report was written by me は、文脈によっては不自然になります。
自分が書いたと言いたいなら I wrote the report のほうが短く強いでしょう。
by を付けたくなったら、能動態のほうが速くないかを一度考えてください。
受動態を重ねて主語が長くなっている
1文の中で受動態を2回使うと、誰が何をしたのかが読めなくなります。
The data that was collected was analysed は、1つを能動態に戻せば読みやすくなります。
We analysed the data we had collected のように書き直してください。
get を書き言葉で使っている
報告書に The budget got approved と書くと、話し言葉の響きになります。
was approved に替えるだけで、文書の格が揃います。
get の形は話し言葉向けなので、ここは迷う必要がありません。
英語の受動態を15分で点検する手順|分単位の進め方
最後は、自分の英文を点検する手順です。
15分を5つに割って、1回に1つの判断だけをします。
毎回同じ順番でやると速くなるでしょう。
0〜3分で受動態に印を付ける
be と -ed の組み合わせを探して、全部に印を付けます。
この段落で何本あるかを数えるだけにしてください。
直すのはまだです。
3〜6分で動作主の有無を書き出す
印を付けた文ごとに、動作主を出しているかどうかを記録します。
by があるもの、ないもの、with や in のものに分けてください。
分けるだけで、自分の癖が見えてくるでしょう。
6〜10分でAIに投げる
上の指示文①を使って、動作主を出すべきかを判定させてください。
1文ずつ投げるほうが精度は上がるでしょう。
まとめて投げると、AIが全部を同じ判定に寄せがちです。
10〜13分で自分で決める
AIの判定と自分の判定が違った文だけを見ます。
読者にとって動作主が必要かどうかに戻って考えてください。
最後に決めるのは自分です。
AIは判断の材料を増やす道具でしかありません。
13〜15分で1行メモを残す
直した理由を1行だけ書き残します。
「動作主が不要だから by を消した」で十分です。
このメモが次の15分を短くします。
英語の受動態の早見表|迷ったときの戻り先
迷ったらこの表に戻ってください。
判断の順番と、選ぶ形の対応をまとめています。
| 状況 | 選ぶ形 | 例 |
|---|---|---|
| 動作主が読者に必要 | 能動態 | I wrote the report. |
| 動作主が不要 | 受動態(by なし) | All applications must be received. |
| 動作主が主役 | 受動態+by | The music was played by a quartet. |
| 道具を示す | 受動態+with | The door was smashed with a hammer. |
| 状態として覆われた | 受動態+in | I was covered in paint. |
| 決定の主体をぼかす | it/there の構文 | It was decided to charge £10. |
| 話し言葉で悪いできごと | get + -ed | Our car got stolen. |
| 自分にも責任がある | get + 再帰代名詞 | I got myself locked out. |
表の左から順に読めば、形は自動で決まります。
どこにも当てはまらないときは、動作主が必要かどうかの1問目に戻ってください。
受動態だけでなく英文全体の誤りを種類別に点検したい場合は、英文法チェックをAIでやる手順|間違いの種類別に指示文を分けるもあわせて読んでください。↓

英語の受動態でよくある質問|AIの答えが割れたときの決め方
残りの疑問をここで片づけます。
どれも実際に判断が止まる場所です。
AIによって答えが違うときはどう決めますか?
動作主が読者に必要かどうかで決めてください。
文法として両方が正しい場面では、AIは文体の好みで答えを変えます。
一次ソースが決めているのは文法の線だけで、どちらを選ぶかは書き手の判断です。
受動態は使わないほうがよいのですか?
場面によります。
動作主のない受動態は、英語ではごくふつうの形です。
動作主を出すべき場面で隠すことだけは避けてください。
受動態にできない動詞はどれですか?
目的語を取らない動詞です。
happen・occur・arrive・seem などが代表になります。
受動態にする前に、その動詞が目的語を取るかを確かめてください。
過去分詞が形容詞なのか受動態なのかは、どう見分けるのですか?
by や with を足せるかどうかで見分けます。
足して意味が通るなら受動態の動作、通らないなら状態を表す形容詞に近い使い方です。
I’m interested in music は、興味を持たせた相手を by で出せないので後者にあたります。
受動態の疑問文はどう作りますか?
be を主語の前に出すだけです。
Was he being examined? のように、-ed の部分は動かしません。
助動詞がある場合は助動詞を前に出します。
受動態を何割にすればよいですか?
割合の基準は存在しません。
数字で決められないのは、一次ソースに目安が1つも載っていないからです。
見るのは割合ではありません。
動作主を隠していい文かどうか、その1点だけです。
まとめ|英語の受動態の使い方は動作主を決めてから形に落とす
英語の受動態の使い方は、形の暗記ではありません。
動作主を出すかどうかを決めて、その結果として形を選ぶ作業です。
決め方は2問しかありません。
読者に動作主が必要か、そして動作主が分かっているか、の2つです。
この2問に答えられれば、by を足すか、with にするか、get にするかは自動で決まります。
AIは判定の材料を増やすために使ってください。
決めるのは自分だという順番だけは崩さないほうがよいでしょう。
受動態の文を声に出す段階まで来たら、発音を音ごとに採点してくれるアプリを1つ持っておくと、自分では気づきにくい音のずれが点数で見えます。
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この記事の情報の取り方
文法の線引きは Cambridge Dictionary の English Grammar Today の該当ページを2026年9月26日に読み、引用は原文のまま載せました。
辞書に書かれていないこと、たとえば受動態の適切な割合については、数字を書いていません。
一次ソースに無いものは書きません。
be の形を時制に合わせるところで迷う場合は、英語の時制の使い分けをAIで練習する手順|現在完了と過去形を分ける基準もあわせて読んでください。↓

- Passive: forms(受動態の形と時制ごとの一覧)(Cambridge Dictionary・English Grammar Today)
- Passives with and without an agent(byを付ける場合と付けない場合)(Cambridge Dictionary・English Grammar Today)
- Get passive(get を使う受動態)(Cambridge Dictionary・English Grammar Today)
- Verbs: transitive and intransitive(他動詞と自動詞の線引き)(Cambridge Dictionary・English Grammar Today)
- Verbs: basic forms(動詞の基本の形)(Cambridge Dictionary・English Grammar Today)
- get(語の意味と用法)(Cambridge Dictionary・英英辞典)
- be(語の意味と用法)(Cambridge Dictionary・英英辞典)
- passive(語の意味)(Cambridge Dictionary・英英辞典)
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