英語のイディオムの覚え方は、意味の丸暗記ではなく場面から引く形に変えます。
覚えられない原因は、語の意味を知らないことではありません。
「いつ、誰に向かって言っていい言い回しなのか」が決まっていないことです。
だから意味は言えるのに、会話では1回も出てきません。
この記事には、原因の切り分け表、AIに投げる指示文6本、1回15分の手順を置きます。
扱うのは、語をバラして足しても意味が出てこない言い回しだけです。
句動詞(get over、put offのような動詞と前置詞の組)は、別の記事で扱います。
【結論】英語のイディオムの覚え方は、丸暗記をやめて辞書の札ごと場面から引く形にします
英語のイディオムは、意味と一緒に「かたさ」と「言ってよい場面」をセットで覚えます。
その2つを持ってくる場所が辞書で、並べ替える作業をAIに渡します。
理由は3つあります。
1つ目は、イディオムには意味とは別に「言ってよい相手」が決まっているものがあるからです。
たとえば cut corners は、Cambridge Dictionaryの見出しに disapproving(非難の気持ちを含む)という表示が付いています。
「手を抜く」という訳だけを覚えて会議で使うと、相手を責める1文になります。
意味は合っているのに、関係が壊れる。
これがイディオムでいちばん起きる事故です。
2つ目は、辞書の見出しの形と、口から出す形が違うからです。
Cambridge Dictionaryで「物事を始める」を引くと、見出しは get/start the ball rolling と出ます。
スラッシュは「どちらの動詞でもよい」という意味で、そのまま口に出す形ではありません。
同じように the ball is in someone’s court の someone’s は、実際には your や his に置き換える枠です。
見出しをそのまま暗記すると、使えない形が頭に残ります。
3つ目は、思い出す入口が日本語だと、会話の速さに間に合わないからです。
「土砂降り」から rain cats and dogs を引く回路は、日本語を1回経由します。
入口を「窓の外がひどい雨で、相手に傘を持たせたい場面」に変えると、経由が1つ減ります。
この記事の手順は、その入口の作り替えだけを扱います。
AIに任せるのは、辞書から拾った材料を並べ替える作業です。
意味とラベルの正解をAIに決めさせることはしません。
そこは辞書の仕事です。
英語のイディオムが覚えられない理由は4つ|覚え方を変える前の切り分け表
切り分けは、たった1つのテストで終わります。
覚えたつもりのイディオムを1つ選んで、声に出して次の2つを言ってみてください。
「意味」と「これを言う相手と場面」です。
意味だけ出て、場面が出てこないなら、原因は②です。
どちらも出るのに、口に出した形が前回と違っていたなら、原因は③です。
| 原因 | 自分での見分け方 | 出る症状 | その日にやること | AIの使い道 |
|---|---|---|---|---|
| ①意味そのものを知らない | 訳が1つも出てこない | 読んでいて文の意味が切れる | 辞書を引いて、見出しと表示をそのまま書き写す | その素材に出てきたイディオムを頻度順に並べさせる |
| ②場面が決まっていない | 訳は出るが、誰に言うかが出てこない | 意味は分かるのに、自分では一度も使わない | その言い回しを言う状況を英語で1行書く | 状況を3つ作らせ、向かない相手も挙げさせる |
| ③形が固まっていない | 口に出すたびに語順や前置詞が変わる | 通じるが、毎回言い直しが入る | 主語と時制を1つに決めた文を10回音読する | 辞書の見出しの形を、自分が使う主語の形に書き換えさせる |
| ④入口が日本語 | 和訳からしか引けない | 書くときは使えるが、会話では出てこない | カードのおもてを日本語から場面の英文に替える | 場面だけを英語で書かせて、答えを伏せたカードを作らせる |
切り分けは1分で終わる
テストに使うイディオムは、自分が「もう覚えた」と思っているものを選びます。
覚えていないものを選ぶと、全部①になって切り分けになりません。
私が指導で使うのは、a piece of cake と cut corners の2つです。
前者はほぼ全員が意味を言えて、後者は表示まで言える人がほとんどいません。
この差が、そのまま②の大きさになります。
2つ以上に当てはまる場合
4つのうち2つ以上に当てはまることは普通にあります。
その場合も、1回の15分では1つだけを選びます。
選ぶ順番は、①→②→④→③です。
形(③)を最後に置くのは、場面が決まっていない言い回しを何十回音読しても、出てくる場所が無いからです。
先に②を埋めると、③はその場面の1文を音読するだけで片づきます。
英語のイディオムの覚え方を決める「3つの札」|辞書が先に答えを持っている
場面を自分で想像する必要はありません。
辞書がすでに札を貼っています。
札というのは、見出しの横や直後に小さく出ている表示のことです。
Cambridge Dictionaryは、見出し語の直後に informal や disapproving と出します。
Oxford Learner’s Dictionariesは、イディオムを中心になる単語の項目の中の Idioms 欄にまとめています。
under the weather を引きたいなら、weather の項目を開いて Idioms 欄まで下りる、という置き方です。
この置き方を知らないと、イディオムは「辞書に載っていない」と誤解されます。
札1|かたさ
informal、slang、disapproving のような、言葉のかたさと気持ちを示す表示です。
Cambridge Dictionaryの文法解説には、ほとんどの辞書がとても砕けた語や硬い語に表示を付けていると書かれています。
同じ解説には、英語の使われ方の大半はかたくも砕けてもない中立だ、とも書かれています。
つまり informal の表示が付いている時点で、それは中立ではない側の言い回しです。
取引先への最初のメールに置く言葉ではない、という判断がここで付きます。
札2|レベル
Cambridge DictionaryにはB2やC2といったCEFRのレベル表示が付く見出しがあります。
2026年9月21日に引いた時点で、a piece of cake と break the ice はB2、under the weather と call it a day はC2でした。
この表示は「難しさ」ではなく「どのくらいの学習段階で出てくるか」の目安です。
B2の2つを先に固めてから、C2の2つに進む順番にすると、覚える量が散りません。
札3|見出しの形
見出しの中のスラッシュと someone’s が、書き換えてよい場所を示しています。
get/start the ball rolling なら、get と start のどちらを置いてもかまいません。
the ball is in someone’s court なら、someone’s の場所に your や their が入ります。
hit the sack は、Cambridge Dictionaryの見出しに also hit the hay と並記されています。
この3種類の記号を読めるようになると、1つの見出しから使える形が2つ3つ出てきます。
| イディオム | 辞書の表示 | 意味 | この表示から決まること |
|---|---|---|---|
| a piece of cake | informal・B2 | とても簡単なこと | 同僚や友人には使える。提案書の本文には置かない |
| break the ice | informal・B2 | 初対面の場をほぐす | 研修や懇親会の話題として口頭で使える |
| under the weather | informal・C2 | 体調がすぐれない | 電話やチャットの体調連絡向き。正式な欠勤届には置かない |
| call it a day | informal・C2 | 今日はここまでにする | チーム内で切り上げるときの一言に向く |
| break a leg | informal | 本番前の励まし | 舞台や発表の直前に限る。日常の「頑張って」には広げない |
| hit the sack(also hit the hay) | infml | 寝る | 身内向けの口語。2つの形のどちらでもよい |
| cut corners | disapproving | 手間や費用を削って質を落とす | 相手の仕事に向けると非難になる。自分の反省として使う |
| spill the beans | 表示なし | 秘密を漏らす | 表示が無い分、口語と文章の両方で見かける |
| rain cats and dogs | 表示なし | 激しく雨が降る | 意味は取りやすいが、自分から言う場面は限られる |
| touch base | 表示なし | 短く連絡を取って様子を確かめる | Cambridge Dictionaryでは砕けた会話の語群に分類されている |
| get/start the ball rolling | 表示なし(スラッシュ形) | 物事を始める | 動詞を2つから選べる |
| the ball is in someone’s court | 表示なし(someone’s形) | 次に動く番は相手にある | someone’s を相手に合わせて入れ替える |
この表は、2026年9月21日にCambridge Dictionaryの各見出しを取得して、表示をそのまま写したものです。
表示が無いものの読み方
表示が無い=どこでも使ってよい、ではありません。
表示が無いときは、見出しの下の例文が唯一の手がかりになります。
touch base の例文は、秘書からのメールの件を相手に確かめる社内のやりとりでした。
the ball is in someone’s court の例文は、決めるのはあなただと相手に渡す場面でした。
例文の登場人物と関係を、そのまま自分の場面に写すのが安全です。
Oxford Learner’s Dictionariesの weather の Idioms 欄には、brass monkeys / brass monkey weather に British English, slang という2枚の表示が並んでいました。
地域の表示が付くものは、相手の英語圏が違うと通じないことがあります。
覚える優先順位としては、いちばん後ろでかまいません。
英語のイディオムをAIに整理させる指示文6本(そのままコピーできます)
1本目から順番に使ってください。
順番を変えると、答えが一般論に寄ります。
指示文の組み立て方には、下敷きにしている型があります。
OpenAIの開発者向け資料では、モデルへの指示を4つの区画に分けることを勧めています。
役割(Identity)、やること(Instructions)、例(Examples)、材料(Context)の4つです。
同じ資料には、材料は指示文の後ろのほうに置くのがよい、とも書かれています。
下の6本は、その並びをそのまま日本語にしたものです。
どのAIでも使えます。
特定のサービスの機能には頼っていません。
1本目:場面と相手を先に決める
あなたは英語のイディオムの用例を整理する係です。
これから私がイディオムを1つ渡します。
勉強法の提案と励ましは書かないでください。
次の順番で、日本語で答えてください。
1. そのイディオムを言う場面を3つ、英語の1行で書く
(誰が、誰に向かって、どんな状況で言うかが分かる1行にする)
2. その3つを「この相手に言ってよい/やめたほうがよい」で分ける
3. 言わないほうがよい相手と状況を、理由つきで3つ挙げる
4. 最後に、いちばん典型的な場面を1つだけ選ぶ
条件
・意味の説明は1行だけにする
・語源の話は書かない
・辞書に載っていない用法を思いついても書かない
イディオム:
(ここから下に貼ります)
4の「1つだけ選ぶ」が肝です。
ここで選ばれた1場面が、あとで作るカードのおもてになります。
3つのまま持っていると、思い出す入口が3つに割れて、どれも定着しません。
2本目:直訳と実際の意味を割る
次のイディオムについて、表を1つ作ってください。
列は次の4つにします。
・イディオム
・語をそのまま訳した場合の日本語
・実際の意味の日本語
・その2つがどれくらい離れているか(近い/やや離れている/まったく別)
そのあとに、次の2つを書いてください。
1. 「まったく別」になったものを、離れている順に並べる
2. 語の意味から実際の意味が推測できるものを、推測の道筋つきで挙げる
条件
・日本語のことわざに置き換えない
・「覚えやすいですよ」のような感想は書かない
イディオム一覧:
(ここから下に貼ります)
「まったく別」に分類されたものだけが、丸ごと覚える必要のあるイディオムです。
推測できるものに時間をかけるのが、いちばんもったいない使い方です。
この表を作るだけで、その日に覚える数が半分以下になることがあります。
3本目:辞書の表示を写させる
これから、私が辞書の見出しから書き写したテキストを貼ります。
あなたの知識で補わないでください。
貼ったテキストの中にある情報だけを使ってください。
次の列で表にしてください。
・見出しの形(スラッシュや someone's も省略せずそのまま)
・かたさの表示(informal / slang / disapproving など。無ければ「表示なし」)
・レベルの表示(B2 / C1 / C2 など。無ければ「表示なし」)
・意味(貼ったテキストの言い方をそのまま日本語にする)
・例文(貼ったテキストにあるものだけ)
表のあとに、次の1行を書いてください。
「貼られたテキストに書かれていなかった列」の一覧。
貼るテキスト:
(ここから下に貼ります)
「あなたの知識で補わないでください」の1行を外さないでください。
この1行が無いと、辞書に無い表示がそれらしく埋まってきます。
最後の「書かれていなかった列」の一覧が、自分で辞書に戻る場所を教えてくれます。
4本目:形をひとつに固める
次のイディオムを、私が実際に口に出す形に書き換えてください。
私の条件
・主語は I か we
・相手は同僚1人
・時制は現在形か過去形のどちらか一方に決める
出力は次の3つだけです。
1. 私が言う形の英文を1つ(10語以内)
2. その英文を、主語だけ he に変えた形
3. その英文を、否定にした形
条件
・候補を並べない。1つに決める
・決めた理由を1行で書く
・辞書の見出しの形も併記する
イディオム:
(ここから下に貼ります)
候補を並べさせないのが、この指示文の目的です。
選択肢が3つあると、口に出す形が毎回ゆれます。
それが原因③の正体です。
10語以内という制限は、音読の1息に収めるためのものです。
5本目:紛らわしい対を並べる
次のイディオムと混同しやすい言い回しを3つ挙げてください。
それぞれについて、次の列で表にしてください。
・言い回し
・意味
・元のイディオムとの違いを1行で
・どちらを使うかを決める質問(はい/いいえで答えられるもの)
そのあとに、次の1つを書いてください。
3つのうち、私が辞書で必ず確かめるべきものを1つだけ選び、理由を1行で書く。
条件
・違いの説明は1行まで
・「どちらも使えます」で終わらせない
イディオム:
(ここから下に貼ります)
「はい/いいえで答えられる質問」を出させるのが、この指示文の中心です。
説明ではなく質問の形にすると、会話の途中でも自分に問えます。
たとえば「相手の仕事のやり方を責めているか」という質問なら、cut corners を使ってよいかがその場で決まります。
6本目:自分の英文を直させる
これから、私が書いた英文を貼ります。
その中のイディオムの使い方だけを見てください。
文法と綴りの指摘はしないでください。
次の順番で答えてください。
1. イディオムが場面に合っているかを「合っている/ずれている」で判定する
2. ずれている場合、何がずれているかを「かたさ/相手/時制/形」から選ぶ
3. 直した英文を1つだけ出す
4. そのイディオムを使わずに同じことを言う、中立な言い方を1つ出す
条件
・褒め言葉を書かない
・判定できないときは「判定できない」と書く
・辞書で確かめるべき点があれば、最後に1行で書く
私の英文:
(ここから下に貼ります)
4の「中立な言い方」を必ず出させてください。
イディオムが浮いている場面では、中立な言い方のほうが伝わります。
言い換えの逃げ道を1つ持っていると、会話で使ってみる回数が増えます。
英語のイディオムの覚え方を1回15分で回す手順(分単位の表)
1回で扱うイディオムは3つまでです。
増やすと、どれも場面が残りません。
辞書を引く時間が最初に来るのが、この手順の特徴です。
AIに投げるのは、辞書から書き写したあとです。
| 時間 | やること | 使うもの | できていない合図 |
|---|---|---|---|
| 0〜2分 | 前回のカードを5枚、場面を見て口に出す | カードだけ | 10秒たっても出てこない枚が3枚以上ある |
| 2〜5分 | 今日の3つを辞書で引き、見出し・表示・例文を書き写す | 辞書 | 表示の欄が空のまま先に進んでいる |
| 5〜7分 | 3本目の指示文に、書き写したテキストを貼る | AI | 貼らずに、イディオム名だけ打ち込んでいる |
| 7〜10分 | 1本目の指示文で場面を出し、1つだけ選ぶ | AI | 場面を3つとも採用している |
| 10〜12分 | 4本目の指示文で、自分が言う形を1つに決める | AI | 候補が2つ以上残っている |
| 12〜14分 | 決めた英文を、場面を思い浮かべながら10回音読する | 声だけ | 画面を見たまま読んでいる |
| 14〜15分 | カードを3枚作って閉じる | カード | おもてに日本語の意味を書いている |
3つより多く入れない
1回に10個入れたくなるのは、リスト形式の教材を見たときです。
10個入れると、2〜5分の辞書の作業が飛びます。
表示の欄が空のまま残ります。
表示が空のカードは、意味だけのカードと同じです。
それは原因②を作り直しているだけなので、15分が丸ごと無駄になります。
音読を飛ばさない
12〜14分の音読は、画面を閉じてからやります。
読むのではなく、場面を思い浮かべてから言う順番にします。
この2分が、原因④の入口を日本語から場面に付け替える作業そのものです。
ここを飛ばすと、残りの13分は読書になります。
英語のイディオムを使える形で覚えるカードの作り方
カードのおもてに日本語の意味を書いた時点で、会話で出てこないカードになります。
おもてに置くのは、その言い回しを言いたくなる状況です。
状況は英語の1行で書きます。
日本語で書くと、また日本語を経由します。
| 面 | 書くもの | 例(under the weather) | 書かないもの |
|---|---|---|---|
| おもて | 言いたくなる状況を英語の1行で | You wake up with a sore throat and message your manager. | 日本語の訳、イディオムそのもの |
| うら(上) | 自分が言う形の英文1つ | I’m feeling a bit under the weather today. | 候補が2つ以上 |
| うら(中) | 辞書の表示 | informal・C2 | 自分で推測した表示 |
| うら(下) | 使わないほうがよい相手を1行 | 正式な欠勤届の文面では使わない | 長い解説 |
おもてに書くもの
状況の1行には、必ず「誰に向かって」を入れます。
相手が入っていないと、かたさの表示を使う場面が作れません。
your manager と your best friend では、選ぶ言い回しが変わります。
1本目の指示文が3つの場面を出すのは、この相手を変えた形を並べるためです。
うらに書くもの
うらの英文は、4本目の指示文で1つに決めたものをそのまま使います。
辞書の見出しの形は、うらの隅に小さく添えるだけにします。
見出しの形を主役にすると、someone’s のまま覚えてしまいます。
1枚に2つ入れない
似ている2つを1枚にまとめたくなりますが、思い出す入口が2つになります。
紛らわしい対は、5本目の指示文で作った質問のほうに持たせます。
カードは1枚1場面、質問は別の1枚、という分け方です。
英語のイディオムの復習間隔の決め方|忘れる前に戻る日を置く
間隔を自分で考える必要はありません。
カードアプリの既定の考え方をそのまま借ります。
Ankiの公式マニュアルには、学習ステップの例として 1m 10m 1d という並びが載っています。
1分後、10分後、翌日という順で出し直し、翌日に通ったら復習カードに進む、という設計です。
アプリを使わない人も、この3つの区切りだけ紙に持ち込めます。
| 戻る日 | やること | 合格の線 | 落ちたときの戻り先 |
|---|---|---|---|
| その日のうち(10分後) | おもてを見て、うらの英文を口に出す | 10秒以内に出る | その場でもう1回 |
| 翌日 | 同じカードを、朝の2分で回す | 10秒以内に出る | その日の3枚に戻す |
| 3日後 | 場面だけ見て、相手を変えて言い直す | 形がゆれない | 4本目の指示文をやり直す |
| 1週間後 | 表示(informalなど)も一緒に言う | 表示まで出る | 3本目の指示文をやり直す |
| 1か月後 | 自分の英文を1つ書いて、6本目の指示文に通す | 「合っている」が返る | 1本目の指示文からやり直す |
10秒で出なければ落とす
Ankiの公式マニュアルには、答えを思い出すのに時間がかかってもよいと書かれています。
ただし10秒ほどで出てこないなら、粘らずに答えを見たほうがよい、とも書かれています。
同じマニュアルは、できなかった扱いにするボタンを使う割合はだいたい5〜20%になる、と書いています。
つまり、5枚に1枚は落ちる想定で組まれています。
全部通ることを目標にすると、カードが簡単すぎる証拠になります。
1日に入れる枚数の上限
Ankiの公式マニュアルには、新しいカードを毎日20枚入れ続けると、1日の復習がおよそ200枚になる、という記述があります。
イディオムは1枚あたりの口を動かす量が多いので、20枚はかなり重い数字です。
この記事の手順が1回3つなのは、復習側が膨らまない数に抑えるためです。
私が指導で見てきた範囲では、週5日で15個、1か月で60個前後が、続いている人の量です。
AIが出した英語のイディオムを正解にしない|辞書での3つの確認
AIの答えは材料であって、正解ではありません。
確認は辞書でやります。
確認に時間はかかりません。
1つのイディオムにつき30秒ほどです。
見る順番だけ決めておけば、辞書の画面を上から下に1回なぞるだけで終わります。
確認1|見出しがあるか
まず、その言い回しが辞書の見出しとして立っているかを見ます。
Oxford Learner’s Dictionariesは、イディオムを中心語の項目の Idioms 欄に置いています。
weather の項目を開くと、under the weather のほかに make heavy weather of something や in all weathers が並んでいました。
単独で検索して出てこなくても、中心語の項目に入っていることがあります。
2つの辞書を引いて、どちらにも見出しが無いものは、その日は使わないでおきます。
確認2|表示が同じか
次に、かたさの表示がAIの答えと一致しているかを見ます。
ここは食い違いがいちばん出るところです。
cut corners の disapproving のような、気持ちを含む表示は抜け落ちやすいと感じています。
表示が違っていたら、辞書側を採ります。
確認3|意味の強さが同じか
同じイディオムでも、辞書によって意味の強さが違うことがあります。
2026年9月21日に引いた時点で、under the weather の説明はこうでした。
Cambridge Dictionaryは「they feel ill」と書いています。
Oxford Learner’s Dictionariesは「slightly ill and not as well as usual」と書いています。
後者は「少し」が入っていて、寝込むほどではない側に寄っています。
この差は、休む連絡に使うか、遅刻の連絡に使うかを分けます。
日本語の訳を1つに固めず、2つの辞書の幅のまま覚えておくほうが安全です。
英語のイディオムの覚え方でやってはいけない5つ
やらないことを決めておくほうが、やることを増やすより早いです。
5つとも、私が指導の場で実際に見てきた止まり方です。
- 「イディオム100選」のような一覧を上から順に覚える(場面がどれにも付いていない)
- AIに「使えるイディオムを50個教えて」と頼む(辞書に見出しが無いものが混ざる)
- 辞書の見出しの形をそのまま暗記する(someone’s のまま口に出すことになる)
- 日本語のことわざに置き換えて覚える(かたさと相手の情報が消える)
- かたさの表示を見ないまま仕事のメールに入れる(意味は合っていても関係が壊れる)
2つ目は、この数年でいちばん増えた止まり方です。
50個まとめて出させると、確認の手間が50倍になります。
結果として1つも確認しないまま、表示の無いカードが50枚できます。
だからこの記事の指示文は、どれも「1つ渡す」形にしてあります。
英語のイディオムの覚え方について、英語講師として見てきたこと
私は30歳のとき、英検3級のところから英語をやり直しました。
語学学校、ワーキングホリデー、大学という3つの形で留学を通りました。
初めての海外勤務はオーストラリアで、いまはカリフォルニアに住んでいます。
そのあと英語講師と英語コーチとして、人が詰まる場所を見てきました。
オーストラリアで起きたこと
働き始めたころ、覚えたイディオムを会話に入れて、場が止まったことがあります。
意味は合っていました。
問題は、それを言う相手と場面のほうでした。
日本語で言えば、初対面の取引先にくだけた冗談を挟んだのと同じことをしていました。
そのとき覚えていたのは訳だけで、辞書の表示は1つも見ていませんでした。
この記事が「表示を書き写す2分」を手順の先頭に置いているのは、そこが理由です。
教えていて毎回起きること
イディオムの回で必ず起きるのは、「意味は言えるのに出てこない」という申告です。
そこで場面を英語で1行書いてもらうと、半分以上の人が手が止まります。
止まった時点で、原因②だと本人にも見えます。
その場で1本目の指示文を回して場面を1つ決めると、次の回から使い始める人がいます。
変わったのは覚えた量ではなく、思い出す入口のほうでした。
やり直した側から見えること
30歳から始めた人間として言えるのは、イディオムは後回しでよい、ということです。
Cambridge Dictionaryの解説にあるとおり、英語の使われ方の大半は中立です。
中立な言い方だけで、仕事も生活もひととおり回ります。
イディオムは、その上に置く装飾だと考えたほうが気が楽になります。
だから6本目の指示文で、中立な言い方を必ず1つ出させています。
英語のイディオムの覚え方についてよくある質問
Q. AIを使えば、英語のイディオムは覚えられますか。
A. 覚えられると言い切ることはできません。
ただし、1つのイディオムに「場面」「表示」「自分が言う形」の3つが必ず付いた状態は作れます。
私の経験では、その3つが揃うと、使ってみる回数のほうが先に変わります。
Q. いくつ覚えれば足りますか。
A. 数の目標は置かないほうがよいと考えています。
自分が実際に置かれる場面は、仕事と生活を合わせても30種類ほどです。
その場面に1つずつ当てていけば、必要な数は自然に決まります。
Q. イディオムと句動詞は同じものですか。
A. 辞書の扱いが違います。
Cambridge Dictionaryでは、見出しの横に idiom と出るものと phrasal verb と出るものが分かれています。
句動詞は前置詞の意味から束ねられるので、覚え方の手順そのものが別になります。
Q. 辞書は2つも引く必要がありますか。
A. 1つでも進められます。
ただし under the weather のように、辞書によって意味の強さが違うものがあります。
2つ目は「迷ったときだけ」で十分です。
Q. 無料のAIでもできますか。
A. この記事の6本は、どれも文章のやりとりだけで完結します。
音声や画像の機能は使いません。
各サービスの無料枠の条件は変わるので、料金ページで確認してください。
Q. 覚えたイディオムを使う場が無いときはどうしますか。
A. 6本目の指示文に、自分で書いた英文を通す形で代用します。
書いた英文でも、かたさと相手のずれは同じように出ます。
月に1回、1か月後の復習に合わせて回すだけで足ります。
まとめ|英語のイディオムの覚え方は、場面から引く形にするだけです
英語のイディオムは、意味だけで覚えると会話に出てきません。
辞書の表示と場面を一緒に持たせます。
やることは3つです。
- 辞書を引いて、見出しの形・かたさの表示・例文をそのまま書き写す
- 1本目と3本目の指示文で、場面を1つに決めて表示を表に整える
- 4本目の指示文で自分が言う形を1つに決め、場面をおもてにしたカードを作る
入口は、覚えたつもりのイディオムを1つ選んで場面を言えるか試すことです。
言えないなら、覚えていたのは訳だけだったということになります。
この記事の情報の取り方
- イディオムの見出しの形・かたさの表示・CEFRのレベル表示・例文は、2026年9月21日に各辞書のページを直接取得して読みました
- 英語の語句と定義は、取得した時点のページにあった表記をそのまま写しています
- 復習の間隔と枚数の目安は、カードアプリの公式マニュアルの記述を同日に確認しました
- 指示文の区画の分け方は、開発者向けドキュメントの記述を同日に確認しました
- 各AIサービスの料金と無料枠は、料金ページの本文を取得できなかったので書いていません
- 記憶に関する研究の数値は、論文の一次資料に自分で当たれなかったので1件も引用していません
- イディオムの使用頻度の順位は、コーパスの原データを自分で確かめられなかったため入れていません
- Cambridge Dictionary「under the weather」
- Cambridge Dictionary「cut corners」
- Cambridge Dictionary「a piece of cake」
- Cambridge Dictionary「the ball is in someone’s court」
- Cambridge Dictionary「Formal and informal language」
- Oxford Learner’s Dictionaries「weather noun」
- Anki Manual「Studying」
- Anki Manual「Deck Options」
- OpenAI「Prompt engineering」
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