英語のリーディング速度は、練習量よりも先に「測り方」で決まります。
速く読めるようになったかどうかは、同じ物差しで測り直さないと分からないからです。
毎回ちがう難易度の英文で測ると、その日の数字は素材の難しさを測っているだけになります。
しかも速度だけを追いかけると、理解度が落ちていることに気づけません。
この記事では、速度と理解度を同時に記録する型、原因別の練習メニュー、AIに投げる指示文7本、4週間の回し方の表を置きます。
速度が上がらない原因は、4つに分けられます。
返り読み、音読化、語彙の自動化不足、チャンクで読めていない、の4つです。
4つのうちどれなのかは、AIに聞かなくても自分で切り分けられます。
多読そのものの進め方と、語彙レベルを測る手順は、この記事では扱いません。
扱うのは「今の自分の速度を数字にして、その数字を動かす」ところだけです。
【結論】英語のリーディング速度は、同じ難易度の素材で測り直すところからしか上がりません
リーディング速度を上げる順番は1つだけです。測り方を固定する、原因を4つに切り分ける、その1つにだけ練習を当てる、です。
理由は3つあります。
1つ目は、測り方が毎回ちがうと、伸びたのか素材が易しかったのか区別できないことです。
英文の速度は、素材の難易度でいくらでも動きます。
同じ人が同じ日に読んでも、児童書とニュース記事では別の数字が出ます。
だから「先週より速くなった」を言うには、素材の条件をそろえるしかありません。
2つ目は、4つの原因で必要な練習がまったく別物になることです。
目が戻ってしまう人にチャンクの練習をさせても、目は戻り続けます。
語の意味を思い出すのに時間がかかっている人に、視線の動かし方を教えても数字は動きません。
3つ目は、切り分けが終わったあとなら、AIの仕事が「作業」になることです。
同じ難易度の素材を毎週作る、語数を書き添える、理解度の設問を5問つける。
どれも人が手でやると遅い作業で、しかも毎週やらないと測定が続きません。
そこだけをAIに渡すと、測定が習慣として回り始めます。
逆に、AIに決めさせてはいけないものもあります。それは後の表で分けます。
そして、この記事には「ネイティブは毎分いくつ読む」といった研究数値を1つも置いていません。
比べる相手は他人の平均ではなく、先週の自分の数字です。それで十分に機能します。
英語のリーディング速度が上がらない原因は4つ|自分で切り分ける表
切り分けは、3つの動作で終わります。
1つ目は、同じ英文をもう一度読んで、2回目の速度を測ることです。
2つ目は、その英文を声に出して読み、音読の速度を測ることです。
3つ目は、意味が取れなかった箇所に線を引き、そこに未知語があるかを見ることです。
この3つの結果の組み合わせで、4つの原因のどれなのかがだいたい決まります。
| 原因 | 自分での見分け方 | 読んでいるときの感覚 | その週にやること | AIの使い道 |
|---|---|---|---|---|
| ①返り読み | 2回目の速度が大きく上がる。読んでいる途中で前の行に目が戻った自覚がある | 1文を読み終えても頭に残らず、もう一度先頭に戻ってしまう | ペーサーで視線を固定する。1文1行の素材で読む | 1文ごとに改行した素材を作らせる |
| ②音読化 | 黙読の速度と音読の速度がほぼ同じ | 頭の中で全部の語を読み上げている | 音読そのものの速度を上げる。同じ英文で音読と黙読を交互に | 読み上げやすい短文の素材を作らせる |
| ③語彙の自動化不足 | 未知語はほぼ無いのに、意味を思い出すのに一瞬止まる語がある | 「知っている単語なのに、意味が出てくるまで間がある」 | 止まった語だけを抜き出して、別の文で何度も会う | 止まった語を使った短文を大量に作らせる |
| ④チャンク不足 | 単語は全部わかるのに、文全体の意味が組み立たない | 語を1つずつ拾っていて、文の骨組みが見えない | スラッシュで区切った素材で、かたまりごとに読む | 意味のかたまりでスラッシュを入れた版を作らせる |
表のどれにも当てはまらず、未知語が1ページに何個も出てくるなら、それは速度の問題ではありません。
素材が今の自分に対して難しすぎるだけです。
その状態で速度を測ると、測っているのは語彙力であって速度ではありません。
先に素材を易しいものに落としてください。数字が動くのはそこからです。
4つは同時に起きます。ただし手当ては1つずつです
実際には、4つのうち2つ3つが同時に起きている人がほとんどです。
それでも、1週間に手当てするのは1つに絞ってください。
2つ同時にやると、数字が動いたときにどちらが効いたのか分からなくなります。
分からないまま続けると、効いていない方の練習を延々と続けることになります。
順番に迷ったら、①返り読みから手をつけてください。
4つの中でいちばん自分で自覚しやすく、いちばん単純な道具で止められるからです。
自分のリーディング速度を測る手順|語数÷分で出す、3分の計測
計測は3分で終わります。道具はタイマーと英文だけです。
アプリも有料の教材も要りません。
手順は次の6つです。
- ①測定用の英文を1本決める。300語から500語くらいが扱いやすい
- ②読む前に語数を確定させる。本文をテキストにコピーして数える
- ③タイマーを押して読み始める。辞書は引かない、前に戻らない
- ④読み終わった瞬間にタイマーを止め、秒数を記録する
- ⑤本文を閉じて、理解度の設問5問に答える
- ⑥語数と秒数から1分あたりの語数を計算し、正答数と一緒に書き残す
計算式は1本だけです。語数 ÷ 秒数 × 60 で、1分あたりの語数が出ます。
たとえば420語を210秒で読んだなら、420 ÷ 210 × 60 で120です。
この120という数字が、その日のあなたの基準になります。
他人の数字と比べる必要はありません。
来週の自分がこの120を超えるかどうかだけを見ます。
語数はAIに数えさせる前に、自分でも確かめる
語数を数える作業は、AIに投げると速く終わります。
ただし、返ってきた数字をそのまま信じないでください。
語数がずれると、速度の数字がまるごとずれます。
10%ずれた語数で計算した速度は、10%ずれた速度です。
確かめ方は簡単で、英文を1行ずつに分けて、行ごとの語数を出させます。
行ごとの数なら、自分の目でも数え直せます。
そして合計が合っているかだけを見ます。
もっと確実なのは、AIに素材を作らせる段階で語数を指定してしまうことです。
「ちょうど400語で書いて、行ごとの語数と合計を最後に出して」と先に言っておけば、数えるという作業自体が消えます。
【指示文1|語数を確定させる】
これから英文を貼ります。次の3つだけを出してください。
1. 英文を1行1文に分けて、各行の先頭に行番号を振る
2. 各行の末尾に、その行の語数を [12 words] の形で付ける
3. 最後に「合計語数: ◯」と1行だけ書く
条件:
- 数字やハイフンでつながった語は1語として数える
- 日本語の解説、要約、感想は書かない
- 英文の中身は1文字も書き換えない
英文:
(ここへ本文を貼る)
測る条件を固定する。ここを崩すと数字が読めなくなります
測定のたびに変えてはいけない条件が5つあります。
| 固定する条件 | 具体的にどうそろえるか | 崩すと何が起きるか |
|---|---|---|
| 素材の難易度 | 同じシリーズ、同じ語彙レベル指定、同じジャンル | 速度の変化なのか素材の変化なのか分からなくなる |
| 語数 | 毎回300語から500語の範囲に収める | 短すぎると助走だけで終わり、長すぎると集中の差が出る |
| 設問の数と形式 | 毎回5問、本文を見ずに答える | 理解度の数字どうしが比べられなくなる |
| 読む媒体 | 紙なら毎回紙、画面なら毎回同じ画面 | 1行の長さが変わり、視線の動き方が変わる |
| 時間帯 | おおむね同じ時間帯にそろえる | 疲れている時間と冴えている時間の差が数字に混ざる |
この5つのうち、いちばん崩れやすいのが素材の難易度です。
読み物としておもしろいものを選びたくなり、気づくと難易度がばらけます。
測定用の素材と、楽しんで読む素材は、最初から別にしてください。
測定用は無味乾燥でかまいません。
物差しにおもしろさは要らないからです。
リーディング速度は理解度とセットで測る|速いだけの数字は捨てます
速度だけを追いかけると、人は必ず飛ばし読みに逃げます。
目を速く動かせば数字は上がるからです。
しかし内容が入っていない読み方は、読んだことになりません。
だから記録するのは、速度と理解度の2つを必ず並べて書きます。
この記事では、記録の採用・不採用を次のように決めます。
| 理解度(5問中の正答数) | その回の速度の扱い | 次にやること |
|---|---|---|
| 5問正解 | 採用する。余裕があるので少し速く読んでよい | 次回は素材を変えずに、15%速い目標時間を先に決めて読む |
| 4問正解 | 採用する。ここが練習の適正ゾーン | 同じペースで継続する |
| 3問正解 | 参考値にとどめる。速度は記録するが、伸びの判定には使わない | 次回は少しゆっくり読み、理解度を戻す |
| 2問以下 | 採用しない。その回の速度は記録から外す | 素材の難易度を1段下げる |
この線引きがあるだけで、飛ばし読みに逃げる動機が消えます。
速く読んでも理解度が落ちれば、その回はカウントされないからです。
理解度の設問は「本文を見ずに答えられるか」で作る
設問の質が低いと、理解度の数字が飾りになります。
本文を見ずに答えられる問題だけが、理解度の物差しとして機能します。
本文を検索すれば答えが出る問題は、読解ではなく検索の練習です。
設問は5問で、内訳を毎回そろえてください。
- 1問目=この文章全体の主題はどれか(全体を1文でつかめたか)
- 2問目=出来事の順番はどれか(時間の流れを追えたか)
- 3問目=筆者の立場はどれか(賛成か反対か、中立か)
- 4問目=本文には書かれていない内容はどれか(作り話を見抜けるか)
- 5問目=指示語や代名詞が指しているものはどれか(つながりを追えたか)
この5つの型を固定すると、素材が変わっても理解度の数字どうしを比べられます。
【指示文2|理解度の設問を作らせる】
これから英文を貼ります。理解度チェック用の4択問題を5問、英語で作ってください。
問題の型は次の順番で固定します。
1問目: 文章全体の主題
2問目: 出来事の順番
3問目: 筆者の立場
4問目: 本文に書かれていない内容
5問目: 指示語や代名詞が指すもの
条件:
- 本文の語をそのまま検索すれば答えが分かる問題にしない
- 選択肢は4つ、長さをそろえる
- 正解と、なぜ他の3つが違うのかを、問題のあとにまとめて日本語で書く
- 正解は問題文の中に書かない
英文:
(ここへ本文を貼る)
リーディング速度の記録表|毎回この3つの数字だけを書く
記録は3つの数字で足ります。語数、秒数、正答数です。
この3つがあれば、1分あたりの語数はあとから計算できます。
項目を増やすと続きません。
感想や気づきの欄を作ると、その欄を埋めるのが面倒で記録自体をやめます。
紙のノートでもスプレッドシートでもかまいません。
| 日付 | 素材名 | 語数 | 秒数 | 1分あたりの語数 | 正答数 | 採用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 初日 | 測定用セットA-1 | 420 | 210 | 120 | 4 | する |
| 3日目 | 測定用セットA-2 | 410 | 215 | 114 | 5 | する |
| 5日目 | 測定用セットA-3 | 430 | 180 | 143 | 2 | しない |
| 7日目 | 測定用セットA-4 | 400 | 195 | 123 | 4 | する |
5日目の143という数字は、理解度が2問なので採用しません。
この1行を「速くなった日」として数えてしまうと、以後の判断が全部ずれます。
採用しない回があるのは失敗ではありません。
速く読もうとして踏み込みすぎた、という情報が取れただけです。
むしろ、採用しない回が1回も出ないなら、踏み込みが足りていない可能性があります。
判断は3回の平均で行います
1回の数字で伸びたかどうかを決めないでください。
同じ人の同じ日でも、体調や集中で数字は動きます。
直近3回の採用した回だけを平均して、その平均どうしを週で比べます。
週の平均が2週続けて上を向いていたら、その練習は当たっています。
2週続けて動かないなら、原因の切り分けが外れています。
その場合は、前の表に戻って別の原因に手を当ててください。
原因①返り読み|リーディング速度をいちばん大きく削っている癖の直し方
返り読みは、読んでいる途中で目が前の語や前の行に戻る動きです。
1文のあいだに2回3回戻れば、その文にかかる時間は倍以上になります。
やっかいなのは、本人に自覚がないことです。
戻ったこと自体を覚えていないので、「自分はゆっくり読む人だ」で片づけてしまいます。
見分け方は単純で、同じ英文を2回目に読んだときの速度差を見ます。
内容を知っている2回目は、戻る理由が減るので速度が上がります。
この差が大きいほど、1回目で戻っていた量が多いということです。
返り読みを止める3つの道具
道具は3つあり、どれも今日から使えます。
- ①ペーサー=指やペン先、画面ならカーソルを行の下に置いて、一定の速さで右へ動かす。目はそれを追う
- ②カバー=紙やカードで、読み終わった行を上から順に隠していく。物理的に戻れなくする
- ③時間の先決め=読む前に「この400語を3分で」と決め、タイマーを見える場所に置く
この3つの中では、②カバーの効き目がいちばん大きいです。戻ろうとしても、そこに文字が無いからです。
ただし、最初の数日は理解度が落ちます。
戻って確認するという安全弁を外すので、当然のことです。
ここで「向いていない」と判断してやめる人が多いのですが、判断が早すぎます。
理解度が戻ってくるかどうかは、同じ素材で1週間続けてから見てください。
そしてAIに作らせる素材が、ここで効いてきます。
1文ずつ改行された英文は、そもそも視線が迷いにくいからです。
【指示文3|返り読み対策の1文1行素材を作らせる】
英語学習用のリーディング素材を作ってください。
条件:
- テーマ: (例)都市の交通と自転車
- 全体でおよそ400語
- 使う語彙は、中学から高校の教科書に出る範囲を中心にする
- 1文をおよそ8語から14語に収める
- 1文ごとに改行し、空行を1つ入れる
- 段落の区切りには、行の先頭に --- を置く
- 最後に「合計語数: ◯」と「1文あたりの平均語数: ◯」を書く
- 日本語訳は付けない
原因②音読化|黙読のリーディング速度の上限を決めているもの
音読化は、頭の中で1語ずつ音にしてから意味に変える読み方です。
この読み方をしていると、黙読の速度は自分の音読速度の付近で頭打ちになります。
口を動かしていなくても、頭の中で読み上げていれば同じことです。
見分け方は、同じ英文で音読の秒数と黙読の秒数を測り、並べるだけです。
2つがほぼ同じなら、黙読が音読の速度に縛られています。
頭の中の声を消そうとしない。上限のほうを上げます
ここで多くの人が、頭の中の声を消そうとします。
口を押さえる、無関係な音をつぶやきながら読む、といった方法です。
この記事では、その方向を勧めません。理解度が落ちやすく、しかも数字で管理しにくいからです。
勧めるのは逆の手です。
頭の中の声そのものを速くして、上限の位置を押し上げます。
やり方は、同じ英文で音読と黙読を交互に繰り返すだけです。
| 回数 | やること | 意識すること | 目安の時間 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | ふつうの速さで音読する | 意味を取りながら、つまずいた箇所に印を付ける | 2分 |
| 2回目 | 印を付けた箇所だけ、ゆっくり音読する | その語や連結を口に馴染ませる | 1分 |
| 3回目 | 1回目より少し速く音読する | 意味が追えるぎりぎりの速さを探す | 2分 |
| 4回目 | 黙読する | 3回目の速さのまま、声を出さずに読む | 1分 |
| 5回目 | 黙読でもう一度、秒数を測る | 記録表に残すのはこの回だけ | 1分 |
合計7分の型です。毎日やる必要はなく、週に2回で足ります。
このとき使う素材には条件があります。
1文が長すぎると、音読で息が続かず、速さを上げる練習になりません。
短めの文が並んだ素材をAIに作らせてください。
【指示文4|音読と黙読を往復するための素材】
英語の音読練習用のテキストを作ってください。
条件:
- テーマ: (例)在宅勤務の良い点と難しい点
- 全体でおよそ350語
- 1文を6語から12語に収める。長い文を作らない
- 関係代名詞を使う文は、全体の2割までにする
- 会話体ではなく、説明文で書く
- 英文のあとに、音読でつまずきやすい箇所を5つだけ挙げ、その理由を日本語で1行ずつ書く
- 発音記号は使わず、どの語とどの語がつながって聞こえるかを英語のつづりで示す
- 最後に「合計語数: ◯」と書く
原因③語彙の自動化不足|意味は知っているのにリーディング速度が出ない状態
3つ目の原因は、知っている語なのに意味が出てくるまでに間がある状態です。
単語帳では答えられる語が、文の中に出てきた瞬間には一拍遅れる。
この一拍が、1ページに何十回も積み重なります。
知っているかどうかではなく、何秒で出てくるかの問題です。
ここは意志では速くなりません。同じ語に何度も別の文脈で会うことでしか短くなりません。
止まった語だけを抜き出す
手当ての出発点は、止まった語を捕まえることです。
読んでいる最中に、一拍遅れた語へ薄く印を付けます。
辞書を引く必要はありません。意味は知っているのですから。
印が付いた語を10語ほど集めたら、それをAIに渡します。
その10語を使った短い文をたくさん作らせて、次の日から読みます。
大事なのは、同じ語を毎回ちがう文脈で見ることです。同じ例文の暗記では、その例文しか速くなりません。
【指示文5|止まった語を自動化するドリル】
次の語を貼ります。これらは「意味は知っているのに、読むとき一瞬止まる語」です。
語: accommodate / consistent / regardless / substantial / undergo
(自分が印を付けた語に差し替える)
作ってほしいもの:
1. 各語について、短い英文を6本ずつ。1文は8語から12語
2. 6本はすべて別の場面にする。仕事、学校、旅行、家庭、ニュース、健康
3. 同じ語でも品詞が変わる用法があれば、そのうち2本で使う
4. 英文だけを先に並べる。日本語訳はいちばん最後にまとめて置く
5. 訳を見なくても読めるように、語彙は貼った語以外を易しく保つ
このドリルは、速度を測る日とは別の日にやってください。
測定の直前にやると、その語だけが一時的に速くなり、数字が上振れします。
効いているかどうかは、翌週の測定で見ます。
印を付ける語の数が週ごとに減っていれば、自動化は進んでいます。
原因④チャンク不足|リーディングの単位を語から意味のかたまりへ移す
4つ目は、語を1つずつ拾っていて、意味のかたまりで受け取れていない状態です。
単語は全部わかるのに、文全体が何を言っているのか組み立たない。
これがチャンク不足の典型的な症状です。
直し方は、区切りをあらかじめ入れた素材で読むことです。
自分で区切れるようになる前に、区切られたものを大量に見ます。
区切る位置には決まりがあります。
| 区切る位置 | 英文での目印 | 区切ったあとの読み方 |
|---|---|---|
| 主語のかたまりの後ろ | 長い主語が動詞にぶつかる直前 | 「誰が・何が」をまず1つ受け取る |
| 前置詞の前 | in, on, at, for, with などの直前 | 場所や時、手段を1かたまりで足す |
| 接続詞の前 | and, but, because, although などの直前 | そこまでの意味をいったん確定させる |
| 関係詞の前 | who, which, that の直前 | 直前の名詞に説明が付くと構えておく |
| to 不定詞の前 | to のあとに動詞の原形が続くとき | 目的や内容が来ると構えておく |
この5つの目印だけ覚えれば、だいたいの文は区切れます。
最初のうちは区切りが細かくなりすぎます。
それでかまいません。
細かい区切りから始めて、慣れてきたら1かたまりを長くしていきます。
かたまりが長くなるほど、1分あたりに受け取れる語数は増えていきます。
【指示文6|スラッシュ入りの素材を作らせる】
英語のリーディング練習用に、同じ本文を2つの形で出してください。
本文の条件:
- テーマ: (例)睡眠と学習効率
- およそ400語
- 高校の教科書に出る範囲の語彙を中心にする
出し方:
1. まず、区切りを入れない普通の本文
2. 次に、同じ本文にスラッシュで区切りを入れた版
スラッシュを入れる位置:
- 長い主語の後ろ
- 前置詞の前
- and, but, because などの接続詞の前
- who, which, that などの関係詞の前
- to のあとに動詞の原形が続くとき
条件:
- 1かたまりが6語を超えたら、意味が切れる場所でもう1本入れる
- 日本語訳は付けない
- 最後に「合計語数: ◯」と「かたまりの数: ◯」を書く
2つの形で出させるのには理由があります。
先に区切りなしの版で読み、そのあと区切りありの版で読み直すためです。
2つの秒数の差が、そのままチャンクの効き目になります。
差が大きいほど、あなたの伸びしろはチャンクにあります。
リーディング速度の練習素材をAIに用意させる指示文|語彙レベル・語数・設問つき
測定を続けるうえで、いちばん先に折れるのは「素材を探す」工程です。
毎週、同じ難易度で、同じ語数で、設問が付いた英文を探すのは現実的ではありません。
ここがAIのいちばん素直な使いどころです。
条件を文字で固定して渡せば、同じ規格の素材が何本でも出てきます。
指定するのは4つです。テーマ、語彙の範囲、語数、設問の型。
この4つのうち、テーマだけを毎回変えます。
残りの3つは固定です。
固定した3つが、あなたの物差しの目盛りになります。
【指示文7|測定用セットを1本作らせる】
英語のリーディング速度を測るための測定用セットを1本作ってください。
固定する条件(毎回変えない):
- 語数: ちょうど400語(前後20語まで許容)
- 語彙: 高校の教科書に出る範囲を中心にする。専門用語を使わない
- 文の長さ: 1文を8語から16語に収める
- 段落: 4段落に分ける
- 設問: 4択を5問。主題、出来事の順番、筆者の立場、書かれていない内容、指示語の順
今回だけ変える条件:
- テーマ: (毎回ここだけ書き換える)
出す順番:
1. タイトル
2. 本文
3. 合計語数
4. 設問5問(選択肢つき)
5. 解答と、他の選択肢が違う理由(日本語で1行ずつ)
禁止:
- 本文の中に設問の答えをそのままの語句で書かない
- 日本語訳を付けない
- 本文の前後に解説を付けない
この指示文の値打ちは「今回だけ変える条件」が1行しかないところにあります。
毎週、テーマの1行を書き換えて投げるだけで、同じ規格の測定用セットが増えていきます。
4週間分をまとめて作らせておくのも手です。
作った順に番号を振って、A-1、A-2、A-3と管理してください。
番号が無いと、どれを読んだか分からなくなり、同じ素材を2回測ってしまいます。
AIに任せていいこと、任せてはいけないこと
ここは線を引いておかないと、記録が意味を失います。
| 工程 | 任せてよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 測定用の英文を作る | 任せてよい | 条件を文字で固定できるので、規格をそろえやすい |
| 設問を作る | 任せてよい | 型を指定すれば、素材が変わっても同じ形の問題が出る |
| スラッシュを入れる | 任せてよい | 区切りの規則を渡せば機械的に処理できる |
| 止まった語の例文を量産する | 任せてよい | 同じ語を別の場面で並べるのは、人がやると時間がかかる |
| 語数を数える | 条件つき | ずれると速度がまるごとずれる。行ごとに出させて自分で確かめる |
| 自分のレベルを判定させる | 任せない | 判定の根拠が確かめられない。自分の数字の推移で見るほうが確実 |
| 速度の目標値を決めさせる | 任せない | 他人の平均を持ち出されても、自分の伸びとは関係がない |
| 読んだかどうかの自己申告 | 任せない | タイマーと正答数だけが記録に残る事実 |
線の引き方は単純です。作業は任せ、判定は任せない。
判定を任せた瞬間に、記録が「自分の数字」ではなくなります。
英語講師として学習者の記録を見てきて、続いている人と止まる人の差はここにありました。
続く人は、数字を自分で持っています。
リーディング速度を伸ばす4週間の回し方|週ごとにやることを1つに絞る表
4週間を1つの単位にします。
1週目で基準を作り、2週目と3週目で原因に手を当て、4週目で測り直します。
途中で素材の難易度を変えないでください。
難易度を変えた時点で、4週間の記録がつながらなくなります。
| 週 | 測定 | 練習(週に何回) | 使う指示文 | この週で見る数字 |
|---|---|---|---|---|
| 1週目 | 3回(初日・3日目・5日目) | 練習はしない。測り方を体に入れる | 指示文1・2・7 | 採用した3回の平均。これが基準になる |
| 2週目 | 2回(初日・5日目) | 切り分けで出た原因の練習を週4回 | 原因に応じて3・4・5・6のどれか1本 | 基準からの増減。まだ動かなくてよい |
| 3週目 | 2回(初日・5日目) | 同じ練習を週4回。内容は変えない | 2週目と同じ1本 | 2週続けて上を向いているか |
| 4週目 | 3回(初日・3日目・5日目) | 練習は週2回に落とす | 指示文7で新しい測定用セット | 1週目の平均との差 |
1週目に練習を入れないのは、基準を汚さないためです。
基準を取る週に練習を混ぜると、基準そのものが動いてしまいます。
もどかしいですが、ここは1週間我慢してください。
4週目の平均と1週目の平均を比べたとき、その差が今回の練習の成果です。
1回の練習は15分。長くしないでください
練習1回の中身は、15分で組めます。
| 時間 | やること | 道具 |
|---|---|---|
| 0分から2分 | 前回印を付けた語を眺める | 止まった語のリスト |
| 2分から8分 | その週の練習メニュー(返り読み・音読化・語彙・チャンクのどれか1つ) | 指示文3から6で作った素材 |
| 8分から12分 | 新しい素材を1本、時間を計らずに読む | 楽しむための素材でよい |
| 12分から15分 | 止まった語を書き出す。5語から10語 | 紙かメモアプリ |
15分を超えると、翌日にやらない日が出てきます。
速度の練習は、1回の長さより回数のほうが効き目が出ます。
週に1回60分より、週に4回15分です。
同じ語、同じ構造に会う回数が増えるほうが、自動化は進みます。
リーディング速度の測定に使える無料の素材|語数が数えられるもの
AIに作らせた素材だけで回してもかまいませんが、外の素材も混ぜたくなるはずです。
その場合の条件は1つだけです。
テキストをコピーできて、語数を自分で数えられるものを選んでください。
画像として置かれている英文は、語数が確定できないので測定には向きません。
2026年9月16日に、次の3つを実際にアクセスして中身を確認しています。
| 素材 | 確認できたこと(2026年9月16日時点) | 測定に向く点 |
|---|---|---|
| Project Gutenberg | トップに「79,413 free eBooks」と表示。著作権が切れた作品をテキストで配布している | 本文をテキストでコピーでき、語数を自分で数えられる |
| VOA Learning English | Beginning Level、Intermediate Level、Advanced Level の3段階でメニューが分かれている | 段階が分かれているので、同じ段階から測定用を選び続けられる |
| Breaking News English | トップに「3,659 Free English News Lessons in 7 Levels」と表示。同じニュースが複数のレベルで用意されている | 同じ話題を違うレベルで読めるので、難易度を1段下げる判断がしやすい |
この3つに共通しているのは、同じ規格の素材が大量にあることです。
測定用の素材に求められるのは、質の高さではなく、そろっていることです。
Project Gutenberg のように1冊が長いものは、章の途中から400語を切り出して使います。
同じ作品の中から切り出せば、難易度がそろいやすいという利点があります。
一方で、古い文学作品は語彙も文体も現代のものとは違います。
仕事で英文を速く読みたい人は、ニュース系の素材のほうが実用に近いです。
どれを選ぶにせよ、4週間のあいだは同じ出どころから取り続けてください。
リーディング速度でやりがちな失敗7つ|数字が動かない人の共通点
ここまでの型どおりにやっても数字が動かない場合、だいたい次のどれかに当てはまります。
失敗1|速読テクニックだけを真似する
視野を広げる、斜めに視線を走らせる、といったテクニックから入る人がいます。
母語で速読の訓練を受けた人ならともかく、外国語でここから入ると理解度が先に崩れます。
理解度が崩れた状態の速度は、記録に採用できません。
数字だけが上がって、実力は動かないという結果になります。
失敗2|毎回ちがう難易度で測る
いちばん多い失敗です。
その日の気分で素材を選ぶと、速度は素材の難易度をなぞって上下します。
上がった週も下がった週も、原因が分かりません。
指示文7の「今回だけ変える条件」を1行に絞ってあるのは、このためです。
失敗3|未知語が多い素材で測る
未知語が多いと、読んでいる時間の大半が「意味の推測」に消えます。
それは語彙の問題であって、速度の問題ではありません。
測定用の素材は、辞書なしで最後まで意味が取れるものにしてください。
簡単すぎると感じるくらいが、測定にはちょうどいい難易度です。
失敗4|理解度を測らない
設問を作るのが面倒で、速度だけ記録する人がいます。
その記録は、数週間後にはただの数列になります。
速く読めたのか、飛ばしただけなのかを、後から判別できないからです。
設問は指示文2で自動的に作れます。ここを省く理由はありません。
失敗5|1回の数字で判断する
今日の数字が先週より低かった、それだけで落ち込む人がいます。
1回の測定には、体調も集中も睡眠も全部混ざっています。
判断するのは、採用した3回の平均どうしです。
1回ずつ見ると、上下に振り回されて練習の内容を頻繁に変えてしまいます。
失敗6|測定と練習を同じ素材でやる
練習で何度も読んだ素材で測ると、内容を覚えている分だけ速く読めます。
それは速度ではなく、記憶を測っています。
測定用のセットには手を付けず、測る日にだけ開いてください。
番号を振って管理するのは、この事故を防ぐためでもあります。
失敗7|辞書を引きながら測る
測定中は、辞書もAIも開かないでください。
1語引くだけで、秒数に数十秒が乗ります。
分からない語があっても飛ばして進み、読み終わってから調べます。
飛ばしても理解度が4問以上取れるなら、その語は今の自分に要らない語です。
飛ばしたせいで設問に答えられなかったなら、その語を覚える理由がはっきりします。
リーディング速度についてよくある質問
Q. 1日どれくらいの時間をかければいいですか
練習は1回15分、週に4回で組んであります。
測定の日はそれに加えて、読む時間と設問の時間で10分ほどかかります。
合計しても週に1時間半です。
これ以上長くしても、続かなければ数字は動きません。
Q. 目標にする速度は、どうやって決めればいいですか
1週目に取った平均を基準にして、その15%増しを当面の目標にしてください。
基準が120なら、138あたりです。
この記事では、世の中の平均値を目標に置くことを勧めていません。
一次ソースで確認できない数値を目標にすると、その数値が正しいかどうかを検証できないからです。
自分の数字なら、正しいかどうかを自分で確かめられます。
Q. 音読はリーディング速度の練習になりますか
原因が②音読化の人には、意味があります。
頭の中の声の速さが上限になっているので、その上限を押し上げる形になるからです。
一方で、原因が④チャンク不足の人には、優先度が下がります。
声に出しても、語を1つずつ拾う読み方は変わらないからです。
先に切り分けをしてから、音読をやるかどうかを決めてください。
Q. スマホの画面で測ってもいいですか
かまいませんが、4週間のあいだは媒体を変えないでください。
スマホは1行が短く、改行の回数が増えます。
紙やパソコンとは視線の動き方が変わるので、数字がつながらなくなります。
文字サイズも固定しておくと、より安定します。
Q. 速度が下がった週がありました。やり方が間違っていますか
1週下がっただけなら、まだ判断できません。
返り読みを止める練習を始めた直後は、下がることがあります。
戻って確認するという安全弁を外している最中だからです。
判断するのは、2週続けて動かなかったときです。
そのときは切り分けの表に戻り、別の原因に手を当ててください。
Q. AIが出してきた語数は、そのまま使っていいですか
行ごとの語数と合計を両方出させて、合計だけ自分で足し算して確かめてください。
語数がずれると、その日の速度がまるごとずれます。
もっと簡単なのは、素材を作らせる段階で語数を指定してしまうことです。
「ちょうど400語で」と先に言えば、数える工程そのものが消えます。
Q. この方法は、試験の長文にも役に立ちますか
試験の長文は、時間内に読み切れるかどうかで点が決まる形式が多いです。
そのため、速度と理解度をセットで管理する型は、そのまま使えます。
ただし、試験対策として仕上げるなら、測定用の素材をその試験の過去問形式にそろえてください。
文の長さも語彙の範囲も、試験ごとにかなり違うからです。
指示文7の固定条件を、その試験の形式に書き換えて使うのがいちばん早いです。
まとめ|リーディング速度は、測り方を固定した日から動き始めます
この記事で置いたのは、次の5つです。
- 速度が上がらない原因を4つに切り分ける表(返り読み・音読化・語彙の自動化不足・チャンク不足)
- 語数 ÷ 秒数 × 60 で出す、3分の計測手順
- 理解度5問とセットで記録し、2問以下の回は採用しないという線引き
- 原因別の練習メニューと、そのままコピーできる指示文7本
- 4週間の回し方の表と、1回15分の練習の中身
今日やることは1つだけです。
指示文7を投げて測定用セットを1本作り、タイマーを押して読んでください。
そこで出た数字が、あなたの基準になります。
他人の平均も、研究の数値も、比べる相手としては要りません。
来週の自分が、今日の数字を超えるかどうかだけを見てください。
4週間後に1週目の平均と比べたとき、差がはっきり出ていれば練習は当たっています。
差が出ていなければ、切り分けの表に戻って別の原因に当て直すだけです。
やり直せる型を持っていることが、速度の練習でいちばん強い武器になります。
Comments